セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 120:

原発性膵癌との鑑別が困難であった上行結腸癌,膵臓・胆道・腹膜転移の1例

演者 平山 大輔(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科)
共同演者 小野寺 馨(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 本谷 雅代(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 東出 侑子(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 福田 昂一郎(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 我妻 康平(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 若杉 英樹(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 一色 裕之(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 村上 佳世(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 志谷 真啓(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 山本 英一郎(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 大橋 広和(恵佑会第2病院 消化器内科), 能正 勝彦(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 奥田 博介(札幌恵佑会病院 腫瘍内科), 山下 健太郎(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 有村 佳昭(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科), 荻野 次郎(札幌医科大学附属病院 病理部), 長谷川  匡(札幌医科大学附属病院 病理部), 篠村 恭久(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科)
抄録 【症例】症例は54歳,女性.2013年7月,黄疸を主訴に前医を受診.CT・MRCPで上下部胆管の狭窄と肝内胆管・主膵管の拡張を認め,膵頭部癌あるいは胆管癌が疑われたが明らかな腫瘍を指摘できなかった.ERCPが施行され,十二指腸乳頭近傍と胆管狭窄部からの生検で共に上皮下に腺癌を認めた.FDG-PETで膵頭部と上行結腸に異常集積を認め,大腸内視鏡検査にて上行結腸癌が指摘され当科紹介となった.造影超音波検査にて膵鉤部からgroove領域に低エコー領域を認め,EUSでは膵頭部の境界不明瞭な高エコー領域として描出された.同部位からのEUS-FNAで腺癌を認めた.膵と大腸病変は画像上各々の領域に限局していることから,膵頭部癌(cT3N0M0,Stage III)と上行結腸癌(cT3N1M0,Stage IIIB)(UICC 7th)の重複癌と考え,根治的切除の方針とした.2013年9月に当院外科にて開腹手術が行われたが,十二指腸周囲から右側横行結腸間膜に腹膜播種を認め,姑息的手術(胆嚢摘出・胆管空腸吻合・胃空腸吻合,回盲部切除,腹膜結節生検)となった.切除標本では上行結腸癌は高度の脈管侵襲を伴い,胆嚢は漿膜面に腹膜転移からの癌の浸潤は認めず壁内に腺癌の脈管侵襲を認めた.切除標本(上行結腸,腹膜結節)と術前生検標本(胆管,膵臓,十二指腸)を用いた免疫染色では全てCK7(-),CK20(+),CDX-2(+)であり,上行結腸癌(tub2)の膵臓・胆道・腹膜転移,pT4aN2M1b,Stage IVBと最終診断,現在は前医にてmFOLFOX6療法を実施中である.【考察】転移性胆膵腫瘍は比較的まれであり,原発巣として腎癌,乳癌,悪性黒色腫,胃癌,大腸癌などが報告されている.転移経路は血行性,リンパ行性,腹膜転移からの浸潤がいわれているが,本症例では血行性・リンパ行性である可能性が考えられた.転移性胆膵腫瘍に特徴的な画像所見はなく原発性胆膵腫瘍との鑑別が困難な場合が多く,重複癌が疑われる場合でも免疫染色を含めた組織学的検討を十分行うことが重要と考えられた.今回われわれは原発性膵癌との鑑別が困難であった上行結腸癌,膵臓・胆道・腹膜転移の1例を経験したので報告する.
索引用語 大腸癌, 転移性胆膵腫瘍