セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 135:

IgG4関連疾患に門脈圧亢進症を来した2例

演者 赤保内 正和(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
共同演者 若杉 英樹(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 我妻 康平(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 志谷 真啓(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 阿久津 典之(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 本谷 雅代(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 山本 元久(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 高木 秀安(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 佐々木 茂(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 高橋 裕樹(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座), 篠村 恭久(札幌医科大学附属病院 消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
抄録 【症例1】50代女性. 両側眼瞼腫脹, 両側顎下腺腫脹を認め, 近医にてIgG4関連疾患が疑われ, 2013年当科紹介受診となった. 高IgG4血症を認め, 左顎下腺摘出による病理所見にてIgG4/IgG:80%と高値のため, IgG4関連疾患と診断した. CT検査にてφ20mm大の脾動脈瘤, 内視鏡検査にて胃穹窿部にF3相当の胃静脈瘤を認め, 門脈圧亢進症と診断した. 脾動脈瘤に対しcoilingを施行し, 続いてPSEを施行したところ, 内視鏡検査では胃静脈瘤の縮小を認めた. その後, BRTOを施行し, 静脈瘤内の血流の遮断に成功した. 門脈圧亢進症の原因に関しては, 肝生検を施行するも肝硬変の所見は得られず, 過去の脾静脈狭窄などの関与が推察された.【症例2】60代男性. 健診で高γグロブリン血症を指摘され近医受診後, 紹介先の病院で高IgG4血症を認めたため当科紹介となった. 後腹膜線維症による腎機能障害を認め, 腫大している鼡径リンパ節より生検を施行したところ, IgG4/IgG:>40%であり, PET/CT検査にて両耳下腺, 両顎下腺, 肺門縦隔リンパ節に集積を認めたため, IgG4関連疾患と診断した. CT検査にて脾静脈の狭窄が疑われ, 脾動脈造影を施行したところ, 脾静脈の狭細化と側副血行路の発達を確認した. また, 内視鏡検査でもF1相当の胃静脈瘤を認めたため, 左側門脈圧亢進症と診断した. ステロイド治療にて, 内視鏡検査では食道静脈瘤の消失, CT検査では脾静脈の狭窄の改善と胃周囲の側副血行路の縮小を認めたため, 治療効果が認められた.【考察】左側門脈圧亢進症は, 脾静脈狭窄・閉塞により生じる局所的な門脈圧亢進症であり稀な疾患とされる. 原因疾患として, 膵腫瘍による脾静脈の圧排や急性・慢性膵炎による脾静脈血栓の形成などが挙げられる. 脾静脈閉塞により脾静脈血流は主に短胃静脈などを介して胃へ流入し胃静脈瘤が形成され, 臨床上は静脈瘤からの出血が大きな問題となる. 今回, 我々は背景疾患にIgG4関連疾患を持つ患者に門脈圧亢進症を来した2例に対してそれぞれ治療を行ない良好な治療効果を認めた. IgG4関連疾患による門脈圧亢進症の報告は多くはなく, 考察を加え報告する.
索引用語 門脈圧亢進症, IgG4関連疾患