セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 036:

当院における大腸憩室出血の現状

演者 佐々木 基(市立室蘭総合病院 消化器内科)
共同演者 清水 晴夫(市立室蘭総合病院 消化器内科), 飯田 智哉(市立室蘭総合病院 消化器内科), 永縄 由美子(市立室蘭総合病院 消化器内科), 石上 敬介(市立室蘭総合病院 消化器内科), 中垣 卓(市立室蘭総合病院 消化器内科), 佐藤 修司(市立室蘭総合病院 消化器内科), 金戸 宏行(市立室蘭総合病院 消化器内科)
抄録 【背景・目的】当院は西胆振地区において唯一脳神経外科と循環器内科の両科を備える総合病院である。必然的に来院患者における抗血栓薬内服患者数の割合は高くなると考えられ、下部消化管出血の中でも特に抗血栓薬内服の影響が大きいとされる大腸憩室出血の動向に関して、今後の診療に役立てていく為、現状評価を行った【対象と方法】2010年4月から2013年3月までの間に大腸憩室出血(疑い含む)により入院となった29例、延べ39件にのみ焦点を当て、抗血栓薬の内服の有無や、出血点を同定できた症例に関しては止血法、また再出血の有無等いくつかの項目に対して検討を行った。【結果】平均年齢は78歳、性別は男性29件、女性10件と男性に多かった。降圧薬の内服は23件に認められ、抗血栓薬に関しては39件中、実に30件で抗血栓薬が内服されていた。NSAIDsの内服に関しては33例中6例。出血点が同定できたのは4件で全例何かしらの内視鏡的止血術が行われていた。1週間以内の再出血に関しては5件で認められる結果となった。【考察】抗血栓薬の内服に関しては既報では50%前後とするものが多いが、当院では有意に高い結果となっていた。また既報では原因疾患として心疾患の割合が高いが、当院では脳梗塞による抗血栓薬が最多となっており、脳神経外科の影響を考えさせる結果であった。しかし出血憩室の同定率は10%程度と低く、また出血点を同定し、止血術を行っても高率で再出血をきたしているのが現状であった。だが、今回の報告は3年間、10名以上の医師が個々人の判断で入院・加療を行った大腸憩室出血(疑い含む)の検討であり、入院が必要と判断した基準、検査時の前処置、再出血の判断、再出血時の対応等主治医の判断によるところが大きく、この結果をもって、何かしらのsuggestionをすることは難しいと思われる。より良質な医療の提供の為にも、統一した判断基準を作成、また何かしらの工夫により出血憩室の同定率等がどう変わっていくかを追加検討する必要があると考えられた。
索引用語 大腸憩室出血, 抗血栓薬