セッション情報 一般演題

タイトル 061:

EUS-FNAによる術前診断が困難であった胃グロムス腫瘍の1例

演者 松本 隆祐(JA北海道厚生連 帯広厚生病院 消化器科)
共同演者 川上 武志(JA北海道厚生連 帯広厚生病院 消化器科), 深谷 進司(JA北海道厚生連 帯広厚生病院 消化器科), 吉田 晃(JA北海道厚生連 帯広厚生病院 消化器科), 中島 淳太(JA北海道厚生連 帯広厚生病院 消化器科), 新 智文(JA北海道厚生連 帯広厚生病院 消化器科), 柳澤 秀之(JA北海道厚生連 帯広厚生病院 消化器科), 菊池 英明(JA北海道厚生連 帯広厚生病院 消化器科)
抄録 症例は40代女性。2012年12月検診の胃バリウム造影検査で胃前庭部にSMTを指摘され、2013年1月前医を受診した。上部消化管内視鏡で胃前庭部大弯に表面平滑なSMTを認め、造影CTで胃前庭部に造影効果の強い18mm大の腫瘤を認めた。診断目的に当科紹介になった。EUSで腫瘤は第3層にあり、境界明瞭、輪郭整、類円形の内部が比較的均一な高エコー腫瘤であった。同部位からEUS-FNAを施行し組織診でN/C比が高く、クロマチン粗雑で腫大した類円形核と淡好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞が、索状、胞巣状に増殖しており、一部偽ロゼッタ形成を認めた。免疫染色でsynaptophysin陽性、CD56, chromograninA陰性、MIB-1 index <1%でありNET G1と診断した。腹腔鏡下胃局所切除術を施行したところ、胃固有筋層内に18mm大の境界明瞭な結節性腫瘤を認め、組織学的には異型の乏しい均一な類円形核と淡好酸性から淡明な胞体を有する円形細胞が、豊富な血管を介在して増殖していた。免疫染色では腫瘍細胞はAE1/AE3陰性、synaptophysin一部陽性、CD56, chromograninA陰性、c-kit陰性、αSMA陽性、CD34陰性であり、CD34の免疫染色では腫瘍組織中の血管の存在を明瞭に確認出来、胃グロムス腫瘍と診断した。
グロムス腫瘍は四肢末梢に好発する有痛性の良性腫瘍であるが、まれに胃に生じることがあり、これまで100例程度の報告がある。胃前庭部に多く、以前は術前診断困難であったが、近年EUS-FNAによる術前診断例も散見されるようになった。胃グロムス腫瘍は基本的に良性腫瘍であるが、肝転移を来した報告例もあるため低侵襲な腹腔鏡下胃局所切除術を施行した。
索引用語 胃グロムス腫瘍, EUS-FNA