セッション情報 一般演題

タイトル 109:

外科的切除を行わずに診断から2年9ヶ月生存が得られた膵がんの一例

演者 代田 充(勤医協苫小牧病院DELIMITER勤医協厚賀診療所)
共同演者 宮崎 有広(勤医協苫小牧病院), 古山 準一(勤医協中央病院), 伊賀 勝康(勤医協苫小牧病院)
抄録  症例は63歳男性。当院内科に糖尿病、高血圧にて定期受診をされていた。2010年8月頃より糖尿病の悪化を認め、同年10月に腹部CTを施行。膵頭部に直径20mm大のLDAを認めた。近隣の病院にて同月にpet-CTを施行。同部位にhot spotを認めた。膵がんが疑われ同年11月に勤医協中央病院へ加療目的に入院。CTによりT2N0M0、stage2と診断。1980年に勤医協中央病院にて胃癌(sig)のため胃全摘、膵体尾部、脾合併切除の既往あり。今回手術ならば膵全摘となるため、ご本人、御家族へ十分なICを外科Drと合同で行い、結局手術は行わず、化学放射線療法の治療を選択された。 2010年12/8より初回GEMを開始。初回のクールのみ勤医協中央病院で施行。退院後は勤医協苫小牧病院でGEM治療を継続した。2011年1/28-3/4の間、地域の基幹病院で膵頭部に放射線治療(50gy/25Fr)を施行。放射線治療が終了後もGEM治療を継続した。2011年9月に誤嚥性肺炎となり抗癌剤治療を終了。抗生剤による肺炎治療は終了したが、退院後は抗癌剤再開を行わず、血液検査(腫瘍マーカー)、画像(CT、pet)で経過をみた。 2012年5月に腫瘍マーカー(CA19-9、DUPAN-2)の上昇を認めた。5/16の腹部造影CTで肝s5/8に直径10mm大の腫瘤を認めた。GEM治療の再開も検討したが、以前誤嚥性肺炎の既往もあり、TS-1(120mg/2x)へ変更し5/23より内服を開始。4週内服、1週休薬とした。肝転移と思われる腫瘤に対しては6/5-6/18で放射線治療(48gy/8Fr)を行った。以後もTS-1の内服を継続した。 2013年3/7の腹部造影CTにて肝に3箇所の転移を認めた。4月に勤医協中央病院でRFAを施行。退院後もTS-1の内服を継続したが、躁状態となり6/4に精神科へ入院。以後はTS-1の内服が中止となり7/17に精神科病棟で永眠された。 今回集学的治療を行った膵がんを経験したので文献的考察を加え報告する。
索引用語 膵がん非切除, 集学的治療