セッション情報 一般演題

タイトル 096:

軽症・中等症急性胆管炎の即日ERCP施行に関する検討

演者 江平 宣起(北見赤十字病院 消化器内科)
共同演者 岩永 一郎(北見赤十字病院 消化器内科), 大原 正嗣(北見赤十字病院 消化器内科), 杉浦 諒(北見赤十字病院 消化器内科), 宮本 秀一(北見赤十字病院 消化器内科), 水島 健(北見赤十字病院 消化器内科), 上林 実(北見赤十字病院 消化器内科)
抄録 【諸言】
胆管炎は日常診療で消化器内科医が診察するcommon diseaseである。胆管炎の症例が来院しても人員の問題、患者の状態、時間外や休日など、状況により入院即日に経乳頭的処置を行わない症例が少なからず存在する。
【目的】
当科において受診日即日に入院した軽症・中等症の急性胆管炎患者に対する内視鏡処置の時期が入院日数や経過に影響するかをretrospectiveに検討した。
【対象・方法】2012年11月から2013年11月まで、ERCPを行った計258症例のうち、急性胆管炎、軽症・中等症として当科に入院した102症例を対象にした。さらに重症度分類不能の症例や、未退院を除く97症例(男性43例:女性54例、平均76.7歳 )に対象を限定した。入院即日(24時間以内)のERCP処置をした群(即日ERCP群;40例)、2日目以降ERCPを行った群(後日ERCP群;57例)で患者背景、治療成績、入院期間などを比較検討した。
【結果】
1)2群間で患者背景に有意差はなかった。2)手技成功率は即日ERCP群 92.5%、後日ERCP群 93.0%で両群に差はなかった(P=0.93)。また、入院期間は即日ERCP群9.8±5.8日、後日ERCP11.4±7.8日両群に有意差はなかった(P=0.25)。また、ERCPの合併症の有無も差はなかった(P=0.075)。
【結論】
今回の結果からは軽症・中等症胆管炎に対するERCPの施行時期は入院期間と治療成績に影響を及ぼさない可能性が示唆された。急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドラインによると中等症・軽症胆管炎は必ずしも即刻即日の胆管ドレナージは必要とされてはいないが、早期の内視鏡処置をはじめとする胆管ドレナージが望ましいとされている。ガイドラインを遵守しつつ患者側の状態や人員や受診時間を含めた状況を踏まえ、即日でなくても安全に内視鏡治療を行う適切な時期を総合的に判断することも許容されうる。
索引用語 ERCP, 胆管炎