セッション情報 一般演題

タイトル 113:

胃への穿破にて発見された膵管内乳頭粘液性腫瘍の一例

演者 高橋 秀明(札幌しらかば台病院 消化器内科DELIMITER聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科)
共同演者 足立 靖(札幌しらかば台病院 消化器内科), 菊池  剛史(札幌しらかば台病院 消化器内科), 秋野  公臣(札幌しらかば台病院 消化器内科), 見田  裕章(札幌しらかば台病院 消化器内科), 中村  正弘(札幌しらかば台病院 消化器内科), 安達 靖代(札幌しらかば台病院 消化器内科), 吉田  幸成(札幌しらかば台病院 消化器内科), 加藤  康夫(札幌しらかば台病院 消化器内科), 石井  良文(聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科), 遠藤  高夫(札幌しらかば台病院 消化器内科)
抄録 【背景・目的】  膵嚢胞性病変は膵疾患で重要な位置を占めるが、その理由として、近年、概念の確立された膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN) が画像診断の進歩により、高頻度に発見されるようになったことが挙げられる。IPMNの概念は1982年に提唱され、わが国における膵癌取扱い規約、WHOの膵腫瘍国際組織分類などによって1990年代中ごろに世界的に定着した。最近ではIPMN/MCN国際ガイドラインが作成され,コンセンサスが得られている。今回我々は、内視鏡検査により胃への穿破が確認され、生検にて膵管内乳頭粘液性腺癌 (IPMC)と診断された症例を経験したので報告する。 【症例】83歳、男性。既往歴:脳梗塞、前立腺癌術後、膵腫瘍(5・10年前に検査入院、詳細不明)。2013年7月、脳梗塞発症し他院入院、加療が行われた。その後病態安定するもののリハビリ継続の必要性あり、9月当院転院となった。スクリーニングの超音波にて膵腫瘍性病変疑われ、上部消化管内視鏡検査にて胃体上部後壁に潰瘍性病変を認め、膵腫瘍と胃の瘻孔と考えられた。瘻孔部を観察したところ、粘液の付着を伴う乳頭状の粘膜が認めれた。また十二指腸乳頭は開大し、粘液の流出を認めた。瘻孔からの生検により不規則な乳頭増殖を示す非表層性粘液細胞、非腸上皮がみられ、MUC1(+)、Ki67(+)、p53(+)、CK7(+)、CK20、CDX-2(-)であった。また、CT上造影効果のない低吸収域の腫瘤が膵体部から尾部に認められ、画像上も胃への穿通が確認された。以上よりIPMCの胃への穿破と診断した。認知症、performance statusご家族の希望がないことからbest supportive careとなり現在に至っている。【考案】IPMNは日常高頻度にみられ、比較的予後良好な疾患だが一部は癌化し予後不良の経過を辿る。またIPMN患者の通常型膵癌の発生率は0.5~0.9%と有意に高値であり、膵癌の高危険群であることから、本症例でもIPMCに加え、通常型膵癌の併存の可能性も否定できないものと思われた。【結語】  胃への穿破にて発見され、その瘻孔からの生検にて診断された膵管内乳頭粘液性癌の一例を経験したので、報告した。
索引用語 IPMC, IPMN