セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 116:

治癒切除不能結腸直腸癌に対する原発巣切除群と非切除群の比較検討

演者 宮本 秀一(北見赤十字病院 消化器内科)
共同演者 岩永 一郎(北見赤十字病院 消化器内科), 大原 正嗣(北見赤十字病院 消化器内科), 杉浦 諒(北見赤十字病院 消化器内科), 水島 健(北見赤十字病院 消化器内科), 上林 実(北見赤十字病院 消化器内科)
抄録 【背景】治癒切除不能結腸直腸癌に対しては,原発巣切除群が原発巣非切除群より予後が良いとの報告を認める.しかし,腸閉塞症状を有さず待機的に手術可能な場合は,現在JCOG1007で臨床試験が進行中であるように化学療法と原発巣切除のどちらを先行するべきかについては統一した見解が得られていない.【目的】当院における治癒切除不能結腸直腸癌症例から原発巣切除群と原発巣非切除群との予後を比較検討する.【対象・方法】当院消化器内科において2006年4月1日から2012年6月30日までに一次化学療法を施行した治癒切除不能結腸直腸癌は,139例であった.一般に延命目的の化学療法の適応にならないPS不良例,十分に経過を把握できない他院で治療開始した症例等を除外したところ,117例となった.根治術後の再発群は20例,原発巣切除群は55例で,原発巣非切除群は42例であった.重度の腹膜播種により手術不能であった症例は治療の選択肢として化学療法しかないため原発非切除群から除外した.原発巣切除群と原発巣非切除群に対して,全生存期間と無増悪生存期間をKaplan-Meier法で評価し,各群間の比較についてはログランク検定を用いて評価した.【結果】全生存期間中央値は原発巣切除群対原発巣非切除群で23.9ヶ月対16.7ヶ月(p=0.031),無増悪生存期間中央値は8.9ヶ月対6.7ヶ月(p=0.034)であった.原発巣切除群の方が,原発巣非切除群に対して全生存期間と無増悪生存期間は有意差をもって長かった. 【考察】当院での検討からも,原発巣非切除群が原発巣切除群に比較して予後不良であることが示されたが,予後不良の原因としてWBC,CRP,ALP,PS,転移臓器数,等の予後予測因子の両群間における差があるかを追加検討した. なお,当日は打ち切り症例もあることから,症例データを更新した結果を報告する.
索引用語 治癒切除不能結腸直腸癌, 原発巣切除