セッション情報 一般演題

タイトル 077:

NAFLD経過観察及びNASHの診断における肝弾性度の有用性と応用

演者 馬場 英(北海道社会保険病院 消化器病センター)
共同演者 古家 乾(北海道社会保険病院 消化器病センター), 小泉 忠志(北海道社会保険病院 消化器病センター), 定岡 邦昌(北海道社会保険病院 消化器病センター), 関谷 千尋(北海道社会保険病院 消化器病センター), 服部 淳夫(北海道社会保険病院 病理)
抄録 【目的】Fibroscanは非侵襲的に肝弾性度を測定できることはすでに報告されているが、同時に計測されるCAPは、非侵襲的に肝組織に沈着した脂肪量を測定する方法である。今回Fibroscanを用いて非アルコール性肝障害でのCAPに関係する因子を検索し、その有用性を検討した。【対象・方法】1.2012年4月から2013年6月までに肝生検を施行したNAFLD12例(男性7名、平均年齢57.6歳)を対象として、病理学的脂肪化(肉眼的半定量、定量解析ソフト)とCAPに関して検討した.2.2012年4月から2012年7月に当院でCAPを施行したアルコール性肝障害(Alc)78例(男性57名、平均年齢61.6歳)と非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)135例(男性97名、平均年齢61.3歳)で、年齢および各種血液生化学的検査所見と肝弾性度、CAPに関して比較検討した.3.2の対象をBモード上の脂肪肝の有無で群分けし、群間におけるCAPの関連から脂肪肝のCut-off valueを求めた.次に肝弾性度とCAPから4群に分け、各群での年齢および各種血液生化学的検査所見に関して検討した.【結果】1.CAPは病理学的脂肪化と有意な正の相関を示した.2.脂肪化が進行した群になるにつれて肝機能、インスリン抵抗性、体格指数が有意に上昇した.脂肪化が進行するにつれて、ALT、HOMA-Rの基準値を超える割合が有意に上昇した.またBモードで認識できない脂肪化であるS1群でも約40%で基準値を超える対象が存在した.3.Bモード上の脂肪肝有りのCut off valueを256dB/mと設定すると、感度85.3%、特異度96.9%であった.肝弾性度とCAPで対象を4群に分類すると、肝弾性度・CAPともにCut off value以内の群から肝弾性度・CAPともにCut off valueを超える群に進むにつれて肝機能、インスリン抵抗性、体格指数が有意に上昇した.また、肝弾性度が高値の群でCAPが低下してくると前述のパラメータは低下する傾向を認めた.【結語】肝弾性度を用いたNASHの拾い上げに関してはすでに報告してきたが、CAPをくわえることで従来Bモード上では検出できなかった線維化をきたしていない脂肪沈着が進みつつある群を拾い上げることが可能であると考えられた.
索引用語 NAFLD, CAP