セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 032:

上部消化管炎症所見を伴ったSchonlein-Henoch 紫斑病の1例

演者 安食 さえ子(北海道医療センター 消化器内科)
共同演者 中原 生哉(北海道医療センター 消化器内科), 渡邊 秀平(北海道医療センター 消化器内科), 馬場 麗(北海道医療センター 消化器内科), 田中 道寛(北海道医療センター 消化器内科), 武藤 修一(北海道医療センター 消化器内科), 木村 宗士(北海道医療センター 消化器内科), 大原 行雄(北海道医療センター 消化器内科)
抄録 Schonlein-Henoch 紫斑病は、アレルギーが引き金となり四肢末梢の紫斑を主とした小児を好発年齢とする疾患である。今回腹痛や上腹部症状を主訴に、その後下肢に紫斑が出現し、内視鏡にて典型的な所見を呈したSchonlein-Henoch 紫斑病の成人発症例を経験したので報告する。症例は、20代男性。腹痛や嘔気、腹部膨満の症状で近医受診したが改善無く3日後当科受診される。胃腸炎を疑い、内服処方を行い経過観察とした。しかし、やはり症状の改善を認めず、近医にて上部消化管内視鏡検査を施行。十二指腸球部に潰瘍を認めたため、プロトンポンプ阻害剤が処方された。その後も腹痛は改善せず、再び内視鏡検査を行うが病変の改善無く、また下肢の紅色丘疹も出現したため、当科に紹介となる。下肢に左右対称性の紫斑が見られ、CTでは十二指腸と回盲部・回腸の浮腫が見られた。また内視鏡所見では、十二指腸の下行脚・水平脚に易出血性の多発びらんが見られた。下肢紫斑は徐々に増強し、Schonlein-Henoch 紫斑病が疑われた。再度胃カメラを行うと胃前庭部に多発する発赤調のびらん所見を認めた。また、大腸内視鏡検査では,直腸と回盲部の発赤、びらん、浮腫状粘膜の所見が見られ、Schonlein-Henoch 紫斑病の内視鏡所見と矛盾の無いものであった。腹痛を主訴とする成人発症のSchonlein-Henoch 紫斑病は、頻度は少ないが急性期の胃十二指腸内視鏡所見は典型的であり、治療開始タイミングのためにも画像所見の認知は必要である。
索引用語 Schonlein-Henoch 紫斑病, 内視鏡所見