セッション情報 合同ワークショップ「消化器疾患における診断治療困難例への対処」

タイトル W1-2:

内視鏡切除例における分化未分化混在型早期胃癌のNBI拡大内視鏡診断

演者 小平 純一(社会医療法人 恵佑会札幌病院 消化器科)
共同演者 安孫子 怜史(社会医療法人 恵佑会札幌病院 消化器科), 穂刈 格(社会医療法人 恵佑会札幌病院 消化器科), 塚越 洋元(社会医療法人 恵佑会札幌病院 消化器科), 大橋 広和(社会医療法人 恵佑会第2病院 消化器科), 岡原 聡(社会医療法人 恵佑会第2病院 消化器科), 松本 岳士(社会医療法人 恵佑会第2病院 消化器科), 高橋 宏明(社会医療法人 恵佑会第2病院 消化器科), 小池 容史(社会医療法人 恵佑会第2病院 消化器科), 西田 靖仙(社会医療法人 恵佑会札幌病院 外科), 細川 正夫(社会医療法人 恵佑会札幌病院 外科), 武内 利直(社会医療法人 恵佑会札幌病院 病理診断科)
抄録 【目的】分化未分化混在型胃癌を通常内視鏡観察と生検で術前診断することは非常に難しい。当科では早期胃癌ESD前にNBI拡大観察を行い、進展範囲決定の他、弱拡大で腫瘍全体を観察し、ある程度組織型を推定してきた。内視鏡切除例を対象に未分化型混在をどの程度診断できていたのか検討した。【方法】2011年から2013年6月までに恵佑会札幌病院および第2病院で内視鏡治療が行われた生検分化型早期胃癌のうち、治療前にNBI拡大観察が行われた220例261病変を病理台帳から抽出。この内切除後に分化未分化混在型早期癌と診断された27例27病変を解析した。組織型は、第14版胃癌取扱い規約に準じてtub1、tub2、papを分化型、sig、por1、por2を未分化型とした。混在型のうち、未分化型が領域を持って存在するものを分離型、分化型と入り乱れて存在するものを非分離型と定義した。当科では、未分化型癌の拡大内視鏡診断所見として、八木の提唱するwhite zoneの不明瞭化と辺縁のゴースト様消失、wavy micro-vesselsを用いている。【成績】27例の内訳は、男20/ 女7、平均年齢70.3歳(42~86歳)、全例萎縮性胃炎(木村竹本分類open type 22/ closed type 5)あり、病巣中心が萎縮領域20/ 境界~胃底腺領域 7、占居部位U 3/ M 11/ L 13、壁在Ant 5/ Post 7/ Less 12/ Gre 3、平均腫瘍径28mm(8~155mm)、隆起型 6/ 陥凹型 21、壁深達度m 14/ sm1 3/ sm2 9、主たる組織分化型tub1 11/ tub2 16、未分化型sig 1/ por 26であった。術前NBI拡大観察時に未分化型の混在を診断できたのは6例(分離型 4/ 非分離型 2)。見直しで診断あるいは推定可能であったのは11例(分離型 6/ 非分離型 5)。見直しでも診断不能であった16例中10例は、未分化型成分が固有層浅層に認められなかった。今回の検討で、分離型は、11例中10例が萎縮領域に存在し、9例は固有層浅層にも未分化型成分が認められた。【結論】分化未分化混在型胃癌のうち、ある程度の領域を持った分離型は、注意深いNBI拡大観察により診断が可能と思われた。
索引用語 混在型胃癌, NBI拡大観察