セッション情報 合同ワークショップ「消化器疾患における診断治療困難例への対処」

タイトル 101:

術後再建腸管を有する胆道疾患症例におけるDB-ERC治療困難例への対処

演者 林 明宏(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター)
共同演者 丹野 誠志(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター), 羽廣 敦也(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター), 金野 陽高(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター), 上野 敦盛(イムス札幌消化器中央総合病院 消化器病センター)
抄録 【背景と目的】術後再建腸管を有する胆道疾患症例に対して,小腸内視鏡を用いたERC関連治療が近年増えているが,乳頭や吻合部まで到達し,治療を完遂させることは必ずしも容易ではない.本検討では,ダブルバルーン内視鏡(DBE)を用いたERC(DB-ERC)関連治療の成績や治療困難例への対処について遡及的に検討を行った.【対象と方法】2011年7月から2013年12月までに当科でDB-ERCを施行した術後再建腸管を有する胆道疾患症例14例23件を対象とした.症例内訳は男性12例,女性2例,年齢中央値76歳(63~86歳)である.DBEはEC-450BI5(Fujinon)を全例で使用した.疾患内訳,乳頭または胆管空腸吻合部への到達率,胆管造影成功率,処置と実際の対処法について検討した.【結果】術後腸管再建術の内訳は,胃全摘後Roux-en-Y(R-Y)再建9例,胆管空腸吻合術後R-Y再建3例,膵頭十二指腸切除術後Child再建2例であり,DB-ERCの施行理由は総胆管結石7例,胆管空腸吻合部狭窄4例,胆管炎2例,悪性胆管狭窄1例であった.乳頭または胆管空腸吻合部への到達率は95.7%(22件/23件),到達例における胆管造影成功率は100%(22件/22件)であった.処置内容は胆管結石除去 12件,狭窄部バルーン拡張 1件,ダイレーター拡張 2件,EST 4件,EPST 1件,EBD 6件,ENBD 2件,EPLBD 2件であり,完全截石率は100%(7例/7例),全到達例における治療完遂率は92.3%(12例/13例)であった.治療関連偶発症はみられなかった.【結論】術後再建腸管を有する胆道疾患症例に対するDB-ERC関連治療の成績は,当施設において到達率,治療完遂率ともに良好であり,治療困難例への対処について具体的に症例で提示する.
索引用語 術後再建腸管, DB-ERCP