セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 137:

胃内に逸脱したメタリックステントを留置スネアを用いて摘出し得た胃噴門部癌の1例

演者 在原 洋平(伊達赤十字病院 消化器科)
共同演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院 消化器科), 小柴 裕(伊達赤十字病院 消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院 内科), 前田 喜晴(伊達赤十字病院 外科), 佐藤 正文(伊達赤十字病院 外科), 川崎 亮輔(伊達赤十字病院 外科), 行部 洋(伊達赤十字病院 外科), 上野 峰(伊達赤十字病院 外科), 平子 匡(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 池田 裕貴(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座)
抄録 食道狭窄に対するメタリックステント (self-expandable metallic stent; SEMS)留置後の逸脱は2.9~9%と報告されており、最も頻度の高い偶発症のひとつである。逸脱を来したSEMSの摘出方法に関しては各症例に応じて検討する必要があるが、内視鏡的に回収することは、出血、穿孔などを来すことが報告されており、必ずしも容易ではない。今回、胃内に逸脱したSEMSを、留置スネアを用いて安全に摘出し得た胃噴門部癌の1例を経験したので、貴重な症例と考え報告する。
症例は93歳、男性。平成25年1月頃より食事のつかえ感あり、同年2月に前医を受診したところ、下部食道から胃噴門部にかけての全周性Type2病変を指摘され、精査加療目的に当科紹介となった。生検では低分化型腺癌であり、胃噴門部癌 cStageIIIA (T4a, N1)の診断し、年齢およびADLを考慮しBSCの方針となった。食道から噴門部にかけての狭窄 (狭窄長5 cm)に対し、covered SEMS (Niti-S ComVi stent 18 x 100mm、Taewoong)を留置したが、同年4月に空腸への逸脱を来し、CTで周囲の炎症所見を伴っており、当院外科にて開腹下にSEMSを摘出した。
その後、ステント再留置は行わず経過観察していたが、狭窄症状の再燃・増悪を認め、9月にcovered SEMS (Flexella-J fully covered 18 x 110 mm、Piolax)を再留置した。再留置後1日目より経口摂取を再開したが、術後15日目の腹部単純X線でSEMSの胃内への脱落を認めた。狭窄部に対するバルーン拡張術後、留置スネア (MAJ-254、Olympus)を用いてステントを3カ所で縫縮し、把持鉗子を用いて内視鏡的に容易に回収し得た。術後35日にuncovered SEMS (Ultraflex uncovered、18x100 mm、Boston scientific)を再々留置した。その後、誤嚥性肺炎で死亡するまでの約2ヶ月間は狭窄症状の再燃及び脱落は認めずに経過した。
索引用語 食道メタリックステント, 逸脱