抄録 |
症例は64歳男性、完全内蔵逆位である。2004年2月当科にて胃癌に対して胃全摘術+脾臓摘出術を施行した。病理結果はstageIB(Type0-IIa+IIb,tub2+sig,T2(MP),N0,M0)であった。術後補助化学療法は行わず経過観察していたが、2007年4月白血球と血小板の増多を来たし、骨髄生検にて移行期に近い慢性期の慢性骨髄性白血病と診断された。imatinibの投与を開始し、分子遺伝学的寛解を維持していた。2007年に施行したCTで副脾と思われる径約10mmの結節を複数個右前腎傍腔に認めたが、その後増大傾向は無かった。しかし2012年1月のCTで径約30mmへ増大し、2013年5月にはさらに増大傾向であり悪性病変も示唆された。同年7月PET-CTを行いFDGの集積を認めたため、白血病の病勢悪化に伴う副脾の増大もしくは原発の悪性リンパ腫などが疑われた。2013年10月開腹生検を行った。右腎頭側に50mm大の軟らかい白色の腫瘤を認め、膵尾部と癒着していた。病理結果はmetastatic adenocarcinoma(tub1,tub2,por1に相当)であった。免疫染色ではAE1/AE3+,CK7-,CK20-,cdx2-,CEA-であり、胃原発に矛盾しない所見であった。現在はimatinibと併用してS-1の投与を開始している。慢性骨髄性白血病の経過観察中、術後9年の経過を経て胃癌再発が判明した1例を経験した。文献的考察を含め、報告する。 |