セッション情報 |
一般演題(専修医(卒後3-5年))
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タイトル |
022:減圧PEGを施行しQOLの改善を認めた終末期膵癌の1例
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演者 |
小西 徹夫(時計台記念病院 消化器センター) |
共同演者 |
児玉 佳之(時計台記念病院 消化器センター), 長岡 康裕(時計台記念病院 消化器センター), 吉田 春(時計台記念病院 消化器センター) |
抄録 |
【はじめに】減圧を目的とした経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)は、嘔吐など消化器症状の改善や経鼻胃管による咽頭不快感から解放されること、さらに形態は限られるが経口摂取が可能となることでQOL向上につながる可能性がある。今回、膵癌から十二指腸狭窄を来たした終末期がん患者に対して減圧PEGを施行しQOLが改善した症例を経験したため検討を加え報告する。【症例】症例は80代女性。近医で糖尿病治療中、急激な血糖コントロール悪化を認め精査目的で当院紹介となる。精査にて膵頭部に40mm大の腫瘍性病変を認め、膵癌stage3bの診断となった。化学療法としてGEM単剤6ヶ月とS-1単剤3ヶ月を施行するもPDの評価となりBSCにて自宅療養となった。しかし3カ月後に腹部膨満感と嘔吐あり精査目的にて入院となった。【経過】入院時の評価にて膵癌増大と十二指腸浸潤から機械的狭窄を認めた。患者・家族にICを行い、QOL向上のため速やかに減圧PEG施行となった。第3病日に術前評価を行い、第5病日にPEG造設した。造設は、鮒田式胃壁固定具を用い4点固定を行った後、24Fr Pull法(セーフティペグキット)を用いて施行した。術後合併症はなく術翌日より水分摂取を開始し、十分減圧されていることを確認した上で術後2日目より特殊食を開始した。腹壁固定は、胃内容物逆流から腹膜炎予防のため抜糸は行わなかった。栄養はCVカテーテルから電解質に注意し高カロリー輸液を行った。経口摂取と外出が可能となったことから「からだ・気持ち・暮らし」の状態評価(0~10)は1点から6点まで改善した。第53病日まで経口摂取が可能であったが、第56病日で死亡した。【考察】一般的に、減圧PEG適応となる症例の予後は長くないため可能な限り早期に適応を判断し、適切なタイミングで造設することが重要である。当院では2012年4月より4例造設したが、胃内容物を排出することで嘔気などの症状改善と、水分やスープさらに酵素分解法などの技術を使用した「あいーと」の経口摂取も可能となりQOLが改善している。今後、人工胃液などを利用しチューブが詰まらず経口摂取が可能な食品を検討して報告したい。 |
索引用語 |
減圧PEG, QOL |