セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 117:

腹腔鏡下に残胃全摘術を施行した残胃癌の1例

演者 安田 尚美(札幌医大 消化器・総合、乳腺・内分泌外科)
共同演者 伊東 竜哉(札幌医大 消化器・総合、乳腺・内分泌外科), 信岡 隆幸(札幌医大 消化器・総合、乳腺・内分泌外科), 沖田 憲司(札幌医大 消化器・総合、乳腺・内分泌外科), 今村 将史(札幌医大 消化器・総合、乳腺・内分泌外科), 西舘 敏彦(札幌医大 消化器・総合、乳腺・内分泌外科), 木村 康利(札幌医大 消化器・総合、乳腺・内分泌外科), 平田 公一(札幌医大 消化器・総合、乳腺・内分泌外科)
抄録 【はじめに】胃癌に対する腹腔鏡下手術は切除範囲を問わず近年増加傾向にあるが、残胃癌に対する腹腔鏡手術の報告は少ない。今回、当科で経験した腹腔鏡下残胃全摘術について報告する。【症例】患者は70代男性、43年前に胃潰瘍の診断にて幽門側胃切除術が施行されていた(手術の詳細については情報入手不能だった)。貧血の進行を認め上部消化管内視鏡を施行したところ、残胃吻合部近傍にSMT様隆起を伴う陥凹性病変を認め、生検にてGroup5、残胃癌の診断となった。精査の結果、臨床病期はB-43-A、3型、T2(MP)、N0、M0、cStageIBであり、手術目的に紹介となった。また、内視鏡像・CT像の詳細な評価から、前回手術時の再建法がBillroth-II法であること、左胃動脈が切離されていないことが想定された。【手術】剣状突起から臍上部までの正中切開痕を認め、これを回避するよう臍下部に小開腹法にてポートを留置し、腹腔内を観察した。創部には広範に腹壁と腸管との癒着を認めたため、腹腔鏡下に癒着剥離を行った。広く視野が展開されたのち、残胃吻合形態の確認を行ったところ、結腸後経路によるBillroth-II法再建後であることが判明した。横行結腸間膜を貫く輸入脚、輸出脚を剥離し、自動吻合器にて切離。幽門部を除いて胃の主要脈管の処理は行われていなかったため、定型的手技でリンパ節郭清を行い、残胃を摘出した。再建はRoux-en-Y法にて行った。手術時間334分、出血量は少量であった。【術後経過】特記すべき合併症無く経過し、術後14日目に退院となった。【結語】早期残胃癌に対する腹腔鏡下残胃全摘術は癒着剥離に時間を要する可能性があるが、視野の確保と術前・術中診断による解剖学的構造の理解を得ることが出来れば、初回手術と遜色のない手術が行えると考えられた。
索引用語 残胃癌, 腹腔鏡手術