セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 026:

Stent-in-stent techniqueによりpartially-covered self-expanding metallic stentの抜去が可能であったと考えられた下部胆管癌の1例

演者 池田 裕貴(伊達赤十字病院 消化器科)
共同演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院 消化器科), 小柴 裕(伊達赤十字病院 消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院 内科), 在原 洋平(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座), 平子 匡(札幌医科大学 腫瘍・血液内科学講座)
抄録 非切除悪性胆道狭窄に対するcovered self-expandable metallic stent (SEMS)留置後に食残やsludgeなどにより閉塞を来すことはまれではない。その対処法として種々の手技が報告されているが、可能であれば抜去後にSEMSを留置することが望ましい。しかし、tumor overgrowthやtissue hyperplasiaにより抜去不可能であることも経験する。今回、partially covered SEMS閉塞による頻回の胆管炎を繰り返し治療に難渋した下部胆管癌症例に対し、stent-in-stent techniqueにより抜去可能であった1例を経験したので報告する。
症例は86歳、女性。認知症。平成20年11月に総胆管結石に対し内視鏡的截石術を施行。その後、平成21年9月のMRCP、EUSで下部胆管狭窄を認め、ERCP施行し、擦過細胞診でclass V (腺癌)であった。積極的な治療は希望されずBSCの方針となり、fully covered SEMS (Niti-S ComVi 10mm x 8cm、Taewoong)を留置し退院。同年12月にSEMS閉塞による重症胆管炎で入院し、把持鉗子で抜去後、partially covered SEMS (WallFlex biliary RX stent、10mm x 6cm、Boston scientific)を留置した。
平成23年11月に再度SEMS閉塞による急性胆管炎で入院し、SEMS乳頭側および肝側がtissue hyperplasiaにより抜去不可能であり、fully covered SEMS (WallFlex biliary RX stent、10mm x 8cm)を追加留置した。その後は数か月おきに胆管炎を繰り返し、バルーンカテーテルによるクリーニングを施行した。
平成25年5月に胆管炎で入院し、頻回の胆管炎を来すため抜去の方針とした。まずfully covered SEMS下端をスネアにて抜去し、引き続きpartially covered SEMSを抜去鉗子およびスネアにて抜去した。その後、fully covered SEMS (WallFlex biliary RX stent、10mm x 6cm)を留置し退院となった。抜去後少量の出血を認めるも重篤な偶発症は認められなかった。現在まで約7か月が経過しているが胆管炎の再燃はない。
索引用語 covered self-expandable metallic stent, stent-in-stent technique