セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 129:

急性肝炎様に発症した自己免疫性肝炎急性増悪の3例

演者 永井 一正(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
共同演者 姜  貞憲(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 山崎  大(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松居  剛志(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 辻  邦彦(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 児玉  芳尚(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 桜井  康雄(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 真口  宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
抄録 【はじめに】自己免疫性肝炎(AIH)は緩解と再燃を繰り返す慢性活動性肝炎であるが、時に急性増悪し急性肝炎様の経緯で発見されることがある。急性増悪するAIHの臨床像は不明な点が多く、診断に苦慮することが少なくない。今回、自己免疫性肝炎の急性増悪が疑われた3例を経験したので報告する。【症例1】36歳男性。2009年1月に黄疸を主訴に急性肝炎として当科紹介となる。AST1328IU/l,ALT1274IU/l,γGTP372IU/l, T.Bil8.8mg/dl,PT活性71.9%,ANA160倍,IgG1436mg/dl。 肝生検では門脈域にinterface hepatitisを伴う線維性拡大を認めた。各種検査では成因特定に至らず、多数摂取する健康食品のうちウコン、青汁がDLST陽性を示したことから薬剤性肝障害を第一に考えた。ところが、被疑薬中止後も4年間で2度の肝障害を認めた。増悪再燃を繰り返す病態と病初期のANAが陽性であったことから、AIHの急性増悪が疑われた。【症例2】52歳女性。2012年6月に黄疸を主訴に、急性肝炎疑いで当科紹介。AST1745IU/l,ALT2535IU/l,γGTP127IU/l,T.Bil6.9mg/dl,PT活性57%,ANA<40,IgG1730mg/dlであった。 肝生検では、P-P間Bridging fibrosis、門脈域には形質細胞を含む炎症細胞浸潤とpiecemeal necrosisを認め、小葉ではロゼット形成がみられ、組織像からAIHの急性増悪が疑われた。【症例3】62歳女性。2013年4月3日に急性肝炎疑いで当科紹介。血液検査ではAST981IU/l,ALT 1312IU/l,γGTP272IU/l,T.Bil8.5mg/dl,PT活性62.8%,ANA<40倍,IgG1391mg/dlであった。肝生検では、P-P/P-C間のBridging necrosis/fibrosis、門脈域には形質細胞を含む炎症細胞浸潤とpiecemeal necrosisを認めた。小葉ではロゼット形成、Zone 3の肝細胞虚脱がみられた。経過観察し第22病日にはAST77IU/l, ALT136IU/lまで改善したが、第62病日にAST152IU/l,ALT225IU/lと再燃を認めた。病理組織像と臨床経過からAIHの急性増悪が疑われた。【まとめと考案】3例は急性肝炎様に発症したが、臨床像と組織所見から、AIHの急性増悪と診断した。AIH急性増悪例では、典型例との異同がいまだ不明であるため、臨床像の解明が求められる。
索引用語 自己免疫性肝炎, 急性発症様