セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 024:

保存的加療にて軽快した門脈ガス血症を呈した虚血性空腸炎の一例

演者 藤本 信乃(桑名西医療センター)
共同演者 石田 聡(桑名西医療センター), 芳川 史嗣(桑名西医療センター), 羽場 一直(桑名西医療センター), 森 秀樹(桑名西医療センター), 北川 良子(桑名西医療センター), 樋口 国博(桑名西医療センター), 泉 道博(桑名西医療センター), 相川 竜一(桑名西医療センター), 足立 幸彦(桑名西医療センター)
抄録 【症例】92歳、女性【主訴】嘔吐【既往歴】高血圧・心筋梗塞・脳梗塞・ASO・右足第4,5指壊死【現病歴】夕食後、潜血混じりの嘔吐があり当院に救急搬送された。来院時、GCS 13(E4V4M5)、体温38.3度。腹膜刺激症状はなかったが、CTで門脈ガス血症を認めた。代謝性アシドーシスを呈し、炎症反応高値のため腸管壊死の可能性も否定できなかったが、高齢のため家人は手術拒否でNGチューブで減圧し、輸液と抗生剤での保存的加療を行った。翌日のCTでは腹水が出現していたが門脈ガスは消失していた。造影CTでも明らかな血栓症は認められなかった。血液データも改善。CT上、小腸に浮腫を認め、第4病日、ガストロ造影施行し腸管の拡張や通過障害がないことを確認。その翌日、小腸カプセル内視鏡施行。結果は十二指腸下行脚より発赤を伴うびらん・潰瘍が多発し、空腸には脱落粘膜や凝結塊を伴う虚血性変化を認めた。第16病日のCTでは小腸浮腫も消失したため食事再開した。順調に経過し、第19病日、小腸二重造影を行い狭窄部位がないことを確認し、第22病日退院となった。【考察】門脈ガス血症は1955年のWolfeらによる報告以来、腸管壊死にともなって認められる予後不良の兆候とされてきたが近年、画像診断の進歩に伴って腸管壊死を原因としない門脈ガス血症の症例や保存的治療で軽快する症例の報告が増えている。原因不明とされるものが多い中、本例では急性期に小腸カプセル内視鏡を施行したことにより虚血性空腸炎と診断された。本例は腹膜刺激症状がなく腹痛が速やかに改善したため腸管壊死の合併はなく保存的加療にて軽快したものと考えられた。門脈ガス血症の存在自体は必ずしも腸管壊死や穿孔性腹膜炎などの重篤な病態を意味せず厳重な経過観察を行えば保存的治療で回復する可能性もあることが再認識された症例であった。虚血性小腸炎も小腸は豊富な側副血行路の存在で虚血性変化が発生しにくく、また診断基準が確立されていないことや形態的検査が困難であることなどの理由から稀とされている。本例では小腸カプセル内視鏡の有用性が示された一例でもあった。
索引用語 門脈ガス血症, カプセル内視鏡