セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 126:細胆管癌成分を含んだ混合型肝癌の1例 |
演者 | 松野 鉄平(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科) |
共同演者 | 藤井 重之(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 佐藤 昌則(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 山田 充子(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 安部 智之(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 櫻井 環(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 黒田 裕行(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 前田 征洋(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 藤田 美悧(製鉄記念室蘭病院 病理・臨床検査室), 仙丸 直人(製鉄記念室蘭病院 外科・呼吸器外科), 定免 渉(札幌医科大学 医学部 腫瘍・血液内科) |
抄録 | 最近、cancer stem cell theoryの確立とともに、混合型肝癌及び細胆管癌の組織発生が、肝幹細胞(hepatic stem cell)あるいは肝前駆細胞(hepatic progenitor cell)と密接に関連しているとの考えが浸透しつつある。2010年WHO消化器腫瘍分類では、従来の混合型肝癌(classical type)に加え、肝ステム細胞像が優位な混合型肝癌を新たな亜型(subtype)として3種に分類し、その1つに細胆管癌が挙げられている。今回我々は、腫瘍内に細胆管癌成分を含んだ混合型肝癌の1例を経験したので報告する。症例は、64歳男性。高血圧症などで他院通院中であった。平成23年9月に施行した腹部エコー検査にて、肝右葉に肝腫瘤を指摘され、精査加療目的に当院外来を紹介受診。なお、今回、採血にて初めて、HCVAb陽性を指摘された。初診時の血液検査では若干の血小板低下と、肝胆道系酵素の上昇を認めた。当院での腹部エコーでは、肝S5に長径32mmの内部不均一でモザイクパターンの腫瘤を認め、ソナゾイドを用いた造影にて淡く早期濃染しその後すぐにwash out し、後血管相ではdefectとなり、肝細胞癌(HCC)が考えられた。造影CTでは、淡く早期濃染し後期相でwash outしておりHCCに矛盾しない所見であった。単純MRIでは、T1強調像で低信号、T2強調像で内部不均一な淡い高信号、拡散強調画像で比較的強い高信号を示し、Gd-EOB-DTPAによる造影では肝細胞造影相(20分後)で低信号となり肝悪性腫瘍と考えられたが、dynamic MRIで早期濃染をほとんど指摘できずHCCとの確診は困難であった。AGでは、A5/6領域に淡い腫瘍濃染を認めCTAPではdefect、CTHAで内部はあまり染まらず辺縁が軽度染まり後期相でコロナ濃染を示した。以上から、高分化型優位のHCCが考えられ、当院外科にて手術を施行した。術後の病理標本にて、混合型肝癌の診断となったが、腫瘍の一部には細胆管癌の所見も認められた。若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 細胆管癌, 混合型肝癌 |