セッション情報 一般演題

タイトル 065:

H.pylori陰性早期胃癌の1例

演者 田中 一成(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
共同演者 田沼  徳真(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 野村 昌史(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 栗原 弘義(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 浦出 伸治(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 木村 有志(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
抄録 【はじめに】胃癌の殆どはH.pyloriの感染に伴う慢性胃炎を背景に生じ、H.pylori陰性胃癌は稀である。今回、萎縮のない胃底腺領域に生じたH.pylori陰性早期胃癌の1例を経験したので報告する。【症例】60歳代、男性。検診の上部消化管内視鏡検査で胃体上部大弯に白色調の隆起性病変を認め、生検でGroup3と診断されたため精査・加療目的に当センター紹介となる。上部消化管内視鏡検査では萎縮のない胃体上部大弯に内部に白色調隆起を伴う15mm大の発赤陥凹性病変を認めた。NBI拡大観察で境界は明瞭であり、病変の肛門側にみられた表面構造の不整と血管の口径不同、走行不整から癌と判断した。明らかにSM浸潤を示唆する所見はなく、深達度Mの分化型早期胃癌と診断した。CT、USにて明らかな遠隔転移を認めずESDを施行した。通常通りの切開剥離操作で偶発症を生じることなく終了した。施行時間は80分であった。切除標本は40×37mm、腫瘍径は15×10mmで肉眼型は0-IIcであった。病理学的にはwell differentiated tubular adenocarcinoma,pT1a,ly0,v0であり、切除断端は陰性であった。粘液形質は杯細胞にMUC2陽性、CD10管腔側に線状に陽性で腸型の粘液形質が見られる一方、MUC5ACがびまん性に陽性、一部にMUC6が陽性の腫瘍細胞も見られ、胃腸混合型の形質を呈していた。【まとめ】H.pylori陰性胃癌を経験した。胃癌は萎縮粘膜を背景に発生することが多いが、萎縮のない粘膜からも一定の確率で生じるため、内視鏡検査を行う際には萎縮のない領域も丁寧に観察する必要があると考えられた。
索引用語 早期胃癌, H.pylori