セッション情報 一般演題

タイトル 076:

B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ療法中の肝発癌例の検討

演者 小関 至(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科))
共同演者 山口 将功(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科)), 木村 睦海(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科)), 荒川 智宏(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科)), 中島 知明(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科)), 桑田 靖昭(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科)), 大村 卓味(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科)), 佐藤 隆啓(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科)), 髭 修平(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科)), 狩野 吉康(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科)), 佐藤 隆啓(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科)), 豊田 成司(札幌厚生病院・3消化器内科(肝臓科))
抄録 【目的】B型慢性肝疾患例において核酸アナログの投与を受けた症例の治療内容別の肝発癌率を調査し、さらに全例における肝発癌率と発癌寄与因子を検討する。【対象と方法】当院において核酸アナログを1年以上投与した418例(Entecavir(ETV)初回255例, Lamivudine(LAM)からETV切り替え84例, LAM耐性にてadefovir(ADV)併用79例)を対象とし、HCC既往例、NA 投与1年以内の発癌例は除外した。418例の年齢中央値53(23-79)歳、男性273例(65%)、肝硬変127例 (30%)、e抗原陽性165例(39%)、遺伝子型C型330例(79%)、観察期間中央値は55(12-184)月であった。なお、ETV初回255例、ETV切り替え84例、LAMとADV併用79例の背景因子では、年齢中央値は、それぞれ、52(23-79)、54(29-78)、53(28-76)、肝硬変例は、69例(26.8%)、20例(23.8%)、38例(48.1%)であった。治療内容別の肝発癌率、全例の肝発癌率と発癌寄与因子を算出した。【成績】1) 治療内容別の3/5/10年累積肝発癌率は、ETV初回治療例、ETV切り替え例、LAMとADV併用例で、それぞれ、4.0/5.8/-%、4.8/6.8/13.1%、2.4/5.0/50.4%で、Log-rank testでは、LAMとADV併用例で有意に肝発癌率が高率(p=0.002)であった。2)観察期間内の全発癌例は44例(10.5%)で、累積肝発癌率は3/5/8/10年で6.6/10.6/15.3/18.1%、肝発癌の危険因子は年齢(連続変数, HR=1.1, 95%CI=1.0-1.1 )、肝硬変(HR=3.1 95%CI=1.1-8.4 )であった。【結論】核酸アナログ投与例における累積肝発癌率は、10年で18.1%と必ずしも低率をはいえず、肝発癌寄与因子として、年齢と肝硬変例が抽出された。核酸アナログ投与内容別の検討では、LAMとADV併用例で、高率に肝発癌が認められたが、この群はLAM耐性によりウイルス学的ブレイクスルーを来した肝炎再燃例が対象であり、さらに、背景肝病変では肝硬変例の割合が高いことがその要因として挙げられた。
索引用語 核酸アナログ, B型慢性肝疾患