セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 094:化学療法関連類洞閉塞症候群(SOS)により生じた難治性腹水に対してDenver shuntが緩和的に奏功した進行大腸癌の1例 |
演者 | 高橋 稔(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科) |
共同演者 | 秋山 剛英(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 田中 信悟(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科DELIMITER札幌医大 第4内科), 佐藤 康史(札幌医大 第4内科), 大井 雅夫(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 土居 忠(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科), 女澤 慎一(札幌共立医院), 宮西 浩嗣(札幌医大 第4内科), 森井 一裕(札幌共立五輪橋病院 血液腫瘍内科緩和医療センター), 平田 健一郎(札幌共立五輪橋病院 健診センター), 竹内 幹也(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター外科), 古川 勝久(札幌共立五輪橋病院 血液腫瘍内科緩和医療センター), 本間 久登(札幌共立五輪橋病院 消化器病センター 内科DELIMITER札幌共立医院) |
抄録 | 症例は55歳女性。平成23年11月。嘔気・嘔吐を主訴に近医受診。イレウスで発症した上行結腸癌・多発肝・肺転移の診断のもと札幌医大第1外科紹介。同年12月右半結腸切除術を施行。平成24年1月札幌医大第4内科の臨床第1相試験XEROXIRI+Bevasizumab(Bmab)にエントリーされ5コース終了時でRECIST PR。その後11コースまで治療継続したがPD。FOLFIRI+Bmabに変更し4コース施行の後PD。同年11月、肝転移巣が生命予後規定因子となり得ると考えられ、動注化学療法目的に当院転院。当院入院時、脾腫・腹水(繰り返し施行した細胞診にてClass I )および血小板減少を認め経過より類洞閉塞症候群と考えられた。同年11月15日、門脈圧を低下させ血小板増多を計る目的で患者・家族に十分なICのもと部分的脾塞栓術(PSE)を施行した。血小板は3x104/mm3程度から10x104程度まで増加したが腹水コントロールは不良で利尿剤では十分な効果が得られず、腹満感が強くCART施行が1-2回/wk程度必要であった。血小板増多が得られ12月より動注化学療法を開始。腫瘍マーカーは順調に低下し、画像上肝転移巣も著明に縮小した。しかし腹水貯留の改善は得られなかった。患者はできるだけ自宅での生活を強く希望した。腹水貯留による腹満感により食事摂取も十分ではなくほぼ定期的なCARTが必要であったため、同年4月難治性腹水に対してDenver shuntを施行した。同shunt造設後腹水は著明に減少し食事摂取も可能となり同治療施行後約3ヶ月間自宅での生活も可能となった。その後、多発性腹腔内リンパ節転移の増大によりIVC syndromeを来したがIVC stent留置にて同症候群を解消できた。しかし同年7月腫瘍進展にて永眠された。家族の同意のもと肝necropsyを施行した。肝組織は小葉内に類洞の拡張を認めグリソン鞘での門脈の高度拡張を認めSOSとして矛盾のない組織所見であった。大腸癌化学療法に伴うSOSによる難治性腹水貯留を呈した症例に対してDenver shunt留置は、安全かつ腹水コントロールが可能であり症状緩和に極めて有益であった。 |
索引用語 | 類洞閉塞症候群, Denver shunt |