セッション情報 一般演題

タイトル 089:

進行肝細胞癌に対するSorafenib治療の工夫 ─患者サポートプログラム・ネクサリンクの導入─

演者 山本 義也(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科)
共同演者 山梨 香菜(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 木下 賢治(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 大和 弘明(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 山本 桂子(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 小川 浩司(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 畑中 一映(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科), 成瀬 宏仁(市立函館病院 消化器病センター 消化器内科)
抄録 【背景・目的】Sorafenibは、進行肝癌に対して唯一エビデンスを有する化学療法であるが、手足症候群などの有害事象により投与継続に苦慮する例も多い。当院では、有害事象対策として2012年7月以降、がん化学療法看護認定看護師・がん薬物療法認定薬剤師と連携し、電話相談による外来患者支援システム(ネクサリンク)を導入した。今回、当院におけるSorafenib治療成績とネクサリンクの有用性について報告する。【方法】2013年8月までに、当科において局所治療困難となりSorafenibを導入した進行肝癌39症例を対象とした。ネクサリンクは、認定看護師・薬剤師から患者への電話で服薬状況や有害事象について把握し、適切な助言をすることにより治療効果の向上を目指した外来サポートシステムで、治療開始時12例、途中5例で導入した。【成績】Sorafenibの導入時年齢中央値は67才(43~85才)、性別は男/女:34/5例。背景肝はHBV/HCV/NBNC:13/13/13例、ChildはA/B:36/3例。導入時のStageII/III/IVA/IVBは4/13/6/16例、高度脈管浸潤有/無は9/30例、肺/骨/副腎/リンパ節への転移は11/4/2/3例(重複あり)。初期投与量は1日800/600/400mgが15/1/23例、投与期間中央値は175日、なお21例でSorafenib後治療がなされていた。抗腫瘍効果はCR/PR/SD/PDが0/3/20/16例で、奏功率8%、病勢制御率59%、無増悪期間中央値150日、生存期間中央値532日だった。有害事象は、手足症候群が19例(Grade3は4例)と高頻度に出現し、下痢、高血圧、倦怠感も多く認められた。Sorafenibの1日平均投与量中央値は、ネクサリンク開始時導入/途中導入/導入なしで446/378/435mg/日、途中導入群をネクサリンク導入前/後で比較すると、346/404mg/日と導入後で増加していた。【考案・結語】Sorafenibは、比較的良好な病勢制御が得られ、少数例だが奏功例も経験された。ネクサリンクの試みによりアドヒアランスの向上が確認され、また治療の不安が軽減し精神的な支えになったとの声も寄せられ、患者居住地が広範にわたる地方病院の癌治療において有益なシステムと思われた。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ