セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
085:悪性腫瘍との鑑別に苦慮した肝エキノコックス症の1例
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演者 |
安部 智之(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科) |
共同演者 |
藤井 重之(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 山田 充子(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 櫻井 環(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 黒田 裕行(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 前田 征洋(製鉄記念室蘭病院 消化器内科・血液腫瘍内科), 仙丸 直人(製鉄記念室蘭病院 外科), 藤田 美悧(製鉄記念室蘭病院 病理臨床検査室), 松野 鉄平(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 佐藤 昌則(札幌医科大学 腫瘍・血液内科), 定免 渉(札幌医科大学 腫瘍・血液内科) |
抄録 |
症例は70代、男性。HBVキャリアであり、定期的に当科外来へ通院していた。2013年2月に腹部エコーを行ったところ、肝S8に40mm弱の高エコー腫瘤を認めた。CT, MRIを撮影したが、早期濃染せず、古典的HCCとは考えにくかった。また、造影エコーでは、辺縁にわずかに濃染を認め、後血管相でdefectを呈しており、また、PETでも集積を認め、転移性肝腫瘍が考えられた。原発巣精査目的に上下部消化管内視鏡検査を行ったところ、胃前庭部後壁に0-IIa+IIc病変を認め、生検の結果、adenocarcinoma, tub2 の診断となった。しかし、胃癌についてはSM浸潤の可能性は考えられたものの、EUSでも第3層の途絶なく、早期胃癌と考えた。内視鏡的切除可能と考え、内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)にて一括切除した。病理結果は、Adenocarcinoma, tub2>tub1, SM2(0.8mm), pT1b2, ly0, v0 であり、SM2であったが、ly0, v0であり、胃周囲にはリンパ節転移を疑う所見もなく、肝腫瘍について積極的に胃癌の転移とは考えられない状態であった。増大傾向のある腫瘍性病変ということで悪性腫瘍を第一に考え、狙撃生検を行ったところ、肝エキノコックス症との診断に至り、当院外科にて幽門側胃切除、肝前区腹側域切除が行われた。悪性腫瘍との鑑別に苦慮した肝エキノコックス症を経験したので、文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
肝エキノコックス, 肝腫瘤 |