セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 056:当院における胃vascular ectasiaに対する内視鏡治療 |
演者 | 木村 睦海(札幌厚生病院 消化器内科) |
共同演者 | 佐藤 隆啓(札幌厚生病院 消化器内科), 山口 将功(札幌厚生病院 消化器内科), 北川 翔(札幌厚生病院 消化器内科), 寺門 洋平(札幌厚生病院 消化器内科), 黒河 聖(札幌厚生病院 消化器内科), 豊田 成司(札幌厚生病院 消化器内科) |
抄録 | 胃vascular ectasia(血管拡張症)は円形の発赤病変としてみられる。特発性である場合と、慢性腎不全や肝硬変などを背景にする場合とがある。出血もみられ消化管出血の1~5%を占めるといわれている。当院では2009年4月以降、内視鏡検査にて450例の胃vascular ectasiaが診断され、29例に対して内視鏡治療を施行した。29例の男女比は21:8、年齢中央値は69歳(38~97)、背景に肝硬変を伴うものが21例みられた。胃vascular ectasiaからの明らかな出血を認めたものが17例、出血は確認できなかったものの、吐下血・貧血のepisodeがあり出血源として強く疑われたものが4例、予防的に治療が行われたものが8例であった。治療法は、EBL(内視鏡的結紮術)単独17例、EBLとAPC併用4例、APC単独2例、クリップ単独4例、クリップとAPC併用2例であった。以下、症例を提示する。【症例1】55歳男性、アルコール+B型肝硬変。黒色便と肝性脳症にて入院。上部消化管内視鏡検査にて、噴出性出血を伴う胃vascular ectasiaを胃体下部に認め、EBLにて止血に成功した。胃体上部にも胃vascular ectasiaが散在していたためEBLを追加した。その後、出血再発は認めていない。【症例2】75歳女性、非B非C肝硬変、虚血性心疾患を合併。抗血小板薬(休薬不能)を内服。Hb値が10.2g/dlから6.3g/dlまで低下する高度の貧血と黒色便にて入院。内視鏡検査にて胃内に大量の血液貯留と、湧出性出血を伴う胃vascular ectasiaを胃角部前壁に認めた。EBLを試みたが胃粘膜を十分に吸引できず、APCに切り替えて止血に成功した。1カ月後、治療部位は潰瘍化し出血はみられていない。【症例3】77歳男性、B型肝硬変。鉄欠乏性貧血にて入院。内視鏡検査にて胃体上部前後壁にoozingを伴った胃vascular ectasiaを認めた。後壁病変にAPCを施行し止血が得られた。一方で前壁病変はAPCを施行したが止血が得られず、EBLを追加施行し止血が得られた。治療1年後、EBLを施行していた前壁には再発は認めなかったが、APCのみであった後壁病変は残存・再発していたためEBLを施行した。若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | vascular ectasia, EBL |