セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 093:脳死肝移植待機中に心原死したWilson病の1例 |
演者 | 山崎 大(手稲渓仁会病院 消化器病センター) |
共同演者 | 姜 貞憲(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 永井 一正(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 松居 剛志(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 辻 邦彦(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 桜井 康雄(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 児玉 芳尚(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター) |
抄録 | 【はじめに】Wilson病は肝臓や神経に銅が蓄積する遺伝性疾患として知られるが、他臓器にも沈着し機能障害を来す全身性疾患でもある。Wilson病による非代償性肝硬変に対して肝移植待機中、突発的に心原死した症例を経験したので報告する。【症例】19歳女性。7歳時にWilson病と診断され、D-penicillamineと亜鉛製剤を処方されていたが、当初より怠薬傾向であった。2013年7月下旬より下腿浮腫と腹部膨満があり、8月5日に前医を受診したところ、AST 88 U/l、ALT 57 U/l、PT活性 22%と既に肝不全であった。D-penicillamineを再開し、保存的治療を試みたが改善せず、脳死肝移植前の待機治療のため9月2日に当院ICUに転院した。経過中に出血傾向を認めたが、明らかな肝性脳症はみられなかった。既往と家族歴に特記事項なし。160cm、89.4kgと肥満があり、眼球結膜下・歯肉・鼻出血がみられ、黄疸、下腿浮腫も顕著であった。AST 47 U/l、ALT 25 U/l、T. bil 24.3 mg/dl、D.bil 13.4 mg/dl、ALP 321 U/l、NH3 90 μg/dl、PT活性15.3 %で、MELD 35点かつChild-Pugh score13点と肝不全は深刻であった。血清銅109 μg/dl、セルロプラスミン21 mg/dl、尿中銅4973 μg/dayでKayser-Fleischer ringを認め、ATP7B遺伝子変異(T1708-5GとG3181Tの変異)からWilson病を再度確診した。第8病日に脳死ドナー登録し、医学的緊急度8点で待機した。なお過小グラフトのため父親は当初からドナー不適応とした。入院時からの洞性頻脈(110bpm)、起坐呼吸、BNP高値(252 pg/ml)から心不全を疑ったが、UCGでは異常なく、循環器内科でも心不全は否定的とのことであった。その後も毎週UCGで観察したが、軽度の右室圧上昇と左室拡張障害がみられるのみであった。第30病日に腎不全に対しHDFを開始したが、意識は清明で血圧は安定、酸素投与下で呼吸管理した。しかし第33病日に、突然心停止し急死した。心電図記録を見返すと、死亡4時間前にII誘導でST低下が出現、最終的に3度房室ブロックで心停止に至っており、心原死と考えた。【結語】脳死ドナーが得られず肝移植待機25日で心原死した19歳のWilson病の1例を経験した。 |
索引用語 | Wilson病, 心原死 |