セッション情報 一般演題

タイトル 052:

内視鏡的切除を施行した早期食道胃接合部腺癌69症例の検討

演者 山本 桂子(市立函館病院消化器病センター消化器内科DELIMITER恵佑会第2病院消化器内科)
共同演者 高橋 宏明(恵佑会第2病院消化器内科), 岡原 聡(恵佑会第2病院消化器内科), 大橋 広和(恵佑会第2病院消化器内科), 小平 純一(恵佑会第2病院消化器内科), 松本 岳士(恵佑会第2病院消化器内科), 吉井 新二(恵佑会札幌病院消化器内科), 穂刈 格(恵佑会札幌病院消化器内科), 塚越 洋元(恵佑会札幌病院消化器内科), 武内 利直(恵佑会札幌病院病理部), 山梨 香菜(市立函館病院消化器病センター消化器内科), 木下 賢治(市立函館病院消化器病センター消化器内科), 大和 弘明(市立函館病院消化器病センター消化器内科), 小川 浩司(市立函館病院消化器病センター消化器内科), 畑中 一映(市立函館病院消化器病センター消化器内科), 山本 義也(市立函館病院消化器病センター消化器内科), 成瀬 宏仁(市立函館病院消化器病センター消化器内科), 工藤 和洋(市立函館病院病理部), 下山 則彦(市立函館病院病理部), 細川 正夫(恵佑会札幌病院消化器外科)
抄録 【目的】本邦における接合部腺癌の特徴を明らかにするため、内視鏡的切除を施行した早期病変を対象とし臨床病理学的検討を行った。【対象】2005年1月から2013年11月まで恵佑会病院にて内視鏡的切除を行った食道胃接合部腺癌66症例67病変、市立函館病院にて行った2症例2病変、合計68症例69病変を対象とした。【結果】男性59例女性9例、組織型は分化型58例、分化未分化混合型11例、純粋未分化型は見られなかった。分化未分化混合型は11例中10例がsm浸潤癌であった。1.発生部位別の検討:E領域15例、EG領域12例、GE領域11例、G領域31例であった。G領域の症例は、他領域発生例と比較し、年齢が高く、背景粘膜は、慢性炎症、好中球浸潤が強く、内視鏡的萎縮も顕著でBarrett粘膜を伴う症例は少数であった。免疫組織化学的には、G領域の病変は胃腸混合型腺管の発現が少ない傾向があった。残胃からの発生6例中5例がG領域に発生、異時性異所性多発症例10例中9例がG領域の病変であった。そのほとんどが、接合部癌発生以前の胃L領域の分化型癌であった。2.Barrett腺癌対非Barrett接合部腺癌:E、EG、GE領域の36病変中30病変が周囲にBarrett粘膜を伴っていた。内訳はLSBE4例、SSBE26例であり、そのうち、Barrett粘膜が病変と直接接していない2例を除いた28例をBarrett腺癌とした。Barrett腺癌28例、非Barrett接合部腺癌41例の比較では、肉眼形態では平坦型はBarrett腺癌のみにみられ、Sm浸潤癌は、非Barrett腺癌では陥凹型が多いのに対し、Barrett腺癌ではSSBEを背景としてSCJに接して隆起性に発育する形態が多かった。LSBE症例や、SSBEでも広くBarrett粘膜が延びる症例では癌の分化度が高い病変が多く、範囲診断が困難な症例が見られた。【結論】1.G領域の病変の背景粘膜、異所性異時性多発などの特徴より、H.pylori感染に起因する胃癌の背景と類似している。解剖学的位置に基づいた現行の定義では、特にG領域で異なった背景を持つ癌がまとめられている可能性があると考えられた。2.Barrett腺癌と非Barrett接合部腺癌では、病理組織や発育形態が異なる可能性が考えられた。
索引用語 接合部癌, Barrett腺癌