セッション情報 合同ワークショップ「消化器疾患における診断治療困難例への対処」

タイトル W1-7:

良性胆管狭窄に対する治療の現況と長期予後

演者 長川 達哉(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器内科)
共同演者 長谷川 貴(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 放射線科), 坂井 亙(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 放射線科), 宮川 宏之(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器内科), 平山 敦(JA北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器内科)
抄録 【背景】良性胆管狭窄の成因は胆道結石あるいは胆道感染症による慢性炎症や手術操作による瘢痕形成,肉芽形成など様々な要因が複雑に関連しているため,その治療方針も多岐に亘る.また,長期経過中に黄疸,胆管炎を反復し,患者のQOLを著しく低下させる難治性の良性胆管狭窄をしばしば経験する.今回,当科にて経験した良性胆管狭窄の病因と治療方針,長期予後について検討を行ったので報告する.【対象】1989年1月より2012年12月までに当科にて治療を行った43例であり,胆管炎に対する保存的治療(絶食,抗生物質投与など)にて軽快した症例は除外した.治療後の観察期間は3~135mo.(平均24.5mo.)であった.【方法】胆管炎に対するTemporary biliary drainageに抵抗性であった良性胆管狭窄の1)原因,2)狭窄部位,3)治療法,4)再発率を検討した.【結果】1)原因としては肝内結石症(原発性)12例,吻合部狭窄9例,慢性膵炎7例,術後胆管炎4例などであり,成因の明らかでない先天性形成異常と考えられる症例も2例含まれていた.2)狭窄部位は肝外胆管21例,肝内胆管13例,吻合部9例であった.3)治療法としてはBiliary drainage後にBalloon拡張,Tube stentの長期留置,Metallic stentの長期留置の順で施行されていることが多く,何れかの段階で外科的処置へ移行する症例も認められた.Tube stent留置17例,外科的処置(胆管切除+吻合術7例,肝切除術2例を含む)12例,Balloon拡張術10例,Metallic stent留置4例,LASER照射が2例に行われていた.4)再発率はTube stent留置28.8%,外科的処置12.5%,Balloon拡張術6.3%,Metallic stent留置50.0%,LASER照射50%であった.【結論】良性胆管狭窄の原因としては肝内結石症が最も多いが,胆道手術が契機となっている症例も認められた.治療法としては再手術後の再発が低率であったが,非手術例ではBalloon拡張術やTube stent長期留置など治療侵襲の低い症例ほど再発率は低く,Metallic stent留置やLASER照射を必要とする難治例ほど再発率は高い傾向にあった.難治例に対する更なる治療法の開発が望まれる.
索引用語 良性胆管狭窄, 治療