セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 123:

膵全摘術を施行した intraductal tubulopapillary neoplasum(ITPN) の1例

演者 清水 佐知子(NTT東日本札幌病院 消化器内科)
共同演者 羽場 真(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 吉井 新二(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 川本 泰之(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 林 健児(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 横山 朗子(NTT東日本札幌病院 消化器内科), 竹本 法弘(NTT東日本札幌病院 外科), 佐藤 昌明(NTT東日本札幌病院 臨床検査科), 赤倉 伸亮(NTT東日本札幌病院 消化器内科)
抄録 症例は50歳代男性。肝機能障害を認め当科紹介となった。腹部造影CTでは膵頭部から膵鉤部にかけて35mm大の動脈相で境界不明瞭な造影不良域を示し、後期相では造影増強効果を認めた。尾側膵は萎縮し主膵管の拡張がみられ、主膵管内にも漸増する造影効果を認めた。膵体部の頭側に膵から突出するように40mm大の結節を認め,漸増する造影効果を示した。超音波内視鏡では膵頭部に不均一な低濃度腫瘤を認め、主乳頭および副乳頭まで膵管内に充満し、膵体尾部側にも拡張した主膵管内への腫瘤の進展がみられた。膵体部にも同様の腫瘤性病変がみられた。ソナゾイド造影腹部超音波検査では膵頭部および膵体部の腫瘤は造影早期から濃染を認め、膵体尾部主膵管内を充満するように同様の造影態度を示す病変がみられた。十二指腸内視鏡観察において主乳頭および副乳頭はいずれも腫大し,副乳頭開口部は開大して腫瘤の露出がみられた。ERPでは膵管内腫瘍により充満された膵頭部膵管の辺縁のみに造影剤が流入され、膵管内腫瘍と考えられた。膵頭部主膵管内の腫瘤から透視下に鉗子生検を行ったところ、篩状構造や乳頭管状構造を呈して増殖する高度異型細胞を認めた。膵管内に進展する乳頭環状構造を呈する腫瘍であることからITPNと診断し、病変が膵頭部から膵尾部まで及んでいることより膵全摘術を施行した。病理所見では膵尾部末端を除いてほぼ膵全体にわたり腫瘍が存在していた。腫瘍細胞は拡張した膵管内で管状、篩状に増殖し、壊死を認めたが粘液産生は殆どみられなかった。MUC5AC、MUC2が陰性であり、Intraductal tubular carcinoma, with an associated invasive carcinoma と診断した。 ITPNは2010年にWHO分類に新採用された比較的新しい概念であり、いまだ報告数は少ない。今回我々は膵全摘術を施行した稀な疾患を経験したので文献的考察を交えて報告する。 
索引用語 ITPN, 膵臓腫瘍