セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 131:

アルコール性肝硬変の臨床像の変遷

演者 遠藤 慶太(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
共同演者 山崎 大(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 永井 一正(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 姜 貞憲(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 辻 邦彦(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 桜井 康雄(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 児玉 芳尚(手稲渓仁会病院 消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
抄録 【背景と目的】アルコール関連患者は医療機関を受診することが少なく、また通院の自己中断も多い。そのため進行するに至って初めて肝硬変と診断される例が少なくない。アルコール性肝硬変の臨床像の変遷について検討する。【対象と方法】2000年から2013年までに当センターにて肝硬変と診断した905例のうち、アルコール性肝硬変患者265例を対象とした。2001年から2006年までに診断した前期群(n=127)と2007年から2013年までに診断した後期群(n=138例)に分けて、1)患者背景、2)肝機能、3)生活習慣病合併率、4)肝細胞癌合併率、について比較検討した。【結果】1) 前期群と後期群で、年齢の中央値は62 (39-89)歳vs 67(38-85)歳 (p=0.052)、男女比は75:52 vs115:23 (p<0.001)であり、後期群に高齢で男性が多い傾向であった。2) 前期群と後期群で、Child-Pugh分類はA/B/C順に64/48/15 vs46/54/37であり、後期群に進行した肝硬変で診断される例が多かった(p=0.004)。3) 生活習慣病については前期群と後期群で、高血圧34/127 vs28/138 (p=0.21)、糖尿病41/127 vs49/138 (p=0.57)、脂質異常症8/127 vs 17/138(p=0.35)であり、有意差を認めなかった。4) 肝細胞癌合併は16/127 (12.6%) vs35/138 (25.4%)と後期群で有意に多かった(p=0.0085)。【考察と結語】最近のアルコール性肝硬変患者は高齢化し、男性の割合が増加しており、肝予備能がより低下し、肝細胞癌の合併が多かった。今回の検討においては、その背景として生活習慣病の合併頻度が増加しているとは言えなかった。将来のウイルス性肝硬変の減少とアルコール性非代償期肝硬変・肝細胞癌の増加が予測され、肝臓内科医による持続的かつ積極的な取り組みが求められる。
索引用語 肝硬変, アルコール