セッション情報 一般演題

タイトル 088:

C型慢性肝炎ペグインターフェロン/リバビリン治療SVR後に発症した肝癌の一例

演者 由崎 直人(斗南病院 消化器内科)
共同演者 藤江 慎也(斗南病院 消化器内科), 藤井 亮爾(斗南病院 消化器内科), 皆川 武慶(斗南病院 消化器内科), 土井 綾子(斗南病院 消化器内科), 木村 朋広(斗南病院 消化器内科), 庵原 秀之(斗南病院 消化器内科), 住吉 徹哉(斗南病院 消化器内科), 平山 眞章(斗南病院 消化器内科), 近藤 仁(斗南病院 消化器内科), 鈴木 善法(斗南病院 外科), 奥芝 俊一(斗南病院 外科), 大森 優子(斗南病院 病理科), 小山田 ゆみ子(斗南病院 病理科)
抄録 症例は60歳代の男性。50歳代であった2001年の健診にて初めてHCV抗体陽性を指摘され当科を紹介された。すでに慢性肝炎の状態であり、ウイルスジェノタイプが1bでhigh titerであることからインターフェロン治療を施行することとなった。当時、患者様からの同意得られずに肝生検は施行しなかった。2002年3月にインターフェロンアルファコンー1の24週投与、引き続いてインターフェロンα-2b+リバビリンの24週投与が施行されるが、いずれも再燃した。2003年3月よりペグインターフェロンα-2b+リバビリン48週治療を施行したところSustained Virological Response(SVR)が得られた。 その後は肝機能異常を認めず、HCVRNAは陰性を保ち続け、AFPは2013年3月までずっと5ng/ml未満で持続していた。画像は腹部エコー検査のみでの経過観察で肝の形態に問題なく、腫瘍は指摘されていなかった。 2013年7月に初めてAFP 13.6ng/mlと軽度の上昇があって腹部エコー検査施行となったが異常指摘されず。11月に再受診されて測定したAFPが427.7ng/mlでありこの際に施行した腹部エコー検査では肝S5に30mmを越える肝腫瘍を指摘された。エコー上腫瘍はモザイクパターンを呈し、その後施行した腹部CT検査では同部に多血性腫瘍を認めることから肝細胞癌と診断された。本症例ではC型肝炎の治療にてSVRとなってから約9年の歳月で肝細胞癌が発症したことになる。 C型肝炎に対する抗ウイルス治療の進歩はめざましく、近年のDAAの臨床導入によって、実に70%以上の症例でSVRが期待できる時代となった。しかしSVRが得られた後も、経過を追跡中に肝細胞癌を発症する症例があることが報告されてきている。今回、本症例の経過を報告するとともに、C型肝炎治療にてSVRを達成した後の肝細胞癌発症の実情につき文献的考察を加えて報告する。
索引用語 C型慢性肝炎, 肝細胞癌