セッション情報 一般演題

タイトル 158:

髄膜癌腫症を合併した進行胃癌の1剖検例

演者 藤澤 倫子(札幌社会保険総合病院 消化器内科)
共同演者 今井 亜希(札幌社会保険総合病院 消化器内科), 高木 智史(札幌社会保険総合病院 消化器内科), 吉田 純一(札幌社会保険総合病院 消化器内科)
抄録 症例は58歳女性。2012年9月腹痛にて受診し、上部消化管内視鏡検査にてBorrman4型胃癌、CTにて胃壁肥厚、多発腹膜結節、腹水貯留を認め、胃癌cT3N0M1PER cStageIVの診断となった。2012年10月よりS-1+Cisplatin療法を導入したが3コースで増悪を認め、2nd lineとして2013年3月よりIrinotecan療法を開始した。4コース継続したが内視鏡検査およびCTにて腫瘍の増大、腫瘍マーカーの上昇を認め、2013年5月より3rd lineのWeekly Paclitaxel療法に変更した。2コース投与後、2013年7月倦怠感、発熱を認め入院。股関節などの多数の関節および背部に疼痛を認め、多発骨転移が疑われた。また入院後、嘔気・嘔吐が出現、胃癌による通過障害および癌性腹膜炎の影響を疑い、胃管挿入、オクトレオチド投与を行った。7月中旬より後頭部痛が出現、意識消失発作を認めるようになった。頭部CTでは明らかな所見は認めず、その後急激に全身状態悪化し、状態改善得られず治療開始より10ヶ月で永眠された。死後ご遺族の同意を得て病理解剖を施行した。胃癌は胃全層に浸潤する低分化腺癌(por2+sig)で、周囲臓器への浸潤傾向が強く、極めて高度のリンパ管・静脈侵襲を認めた。中枢神経組織ではくも膜下腔に癌細胞が充満し髄膜癌腫症と診断され、終末期の頭痛・嘔吐の原因と考えられた。
髄膜癌腫症は固形腫瘍では稀であり、胃癌では0.16~0.69%に合併するとの報告がある。画像診断では陽性率が低く、診断には髄液細胞診が必要となる。治療としては抗癌剤の髄腔内投与、全脳照射などが行われているが予後は極めて不良である。
今回我々は、胃癌、腹膜播種で化学療法中に全身転移をきたし髄膜癌腫症を併発した1例を経験したので報告する。
索引用語 胃癌, 髄膜癌腫症