セッション情報 ワークショップ14(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい上部消化管内視鏡検査の工夫

タイトル 内W14-3:

リドカイン飴とリドカインビスカスの上部消化管内視鏡検査における麻酔効果と苦痛度の無作為前向き比較試験

演者 楠本 聖典(丹後中央病院・消化器内科)
共同演者 濱田 暁彦(丹後中央病院・消化器内科), 上古 直人(丹後中央病院・消化器内科)
抄録 【背景】上部消化管内視鏡検査(以下GIE)の咽頭麻酔は従来リドカインビスカス(以下「ビスカス法」)が主流であるが、苦味が強く咽頭内に数分間保持する麻酔自体の苦痛や、麻酔効果が不十分でGIE中に咽頭の苦痛が強いという被験者も多く、より苦痛の少ない咽頭麻酔法が望まれる。【目的】今回我々は今里らにより考案された4%リドカイン液1.4ccと砂糖を混合した「リドカイン飴」による咽頭麻酔法(以下「飴法」)を行い、甘味による咽頭麻酔時の苦痛軽減およびゆっくり少量ずつリドカリンを嚥下することで十分な咽頭麻酔を行いGIE中の苦痛を軽減することを目的とした。従来の「ビスカス法」と比較し咽頭麻酔およびGIEの苦痛度を無作為前向きに比較検討した。【対象・方法】対象は2011年12月~2012年3月に当院においてGIEを施行した248症例(平均年齢:62.3±13.6 歳、男/女: 153/95 例、平均GIE経験数:4.33±3.31回、それぞれ両群に有意差なし)。被験者の同意を得た上でくじ引きにより無作為に「飴法」122例「ビスカス法」126例に振り分け Q1.咽頭麻酔中の苦痛度 Q2.咽頭麻酔直後の苦痛度 Q3.GIE中の苦痛度 Q4.GIE後の苦痛度をそれぞれ質問し、100mm visual analogue scale (VAS)を用い統計学的に比較検討した。【結果】Q1.「飴法」12.7±18.6点,「ビスカス法」40.1±25.3点,P<0.001。Q2.「飴法」14.3±20.1点,「ビスカス法」34.0±28.3点,P<0.001。Q3.「飴法」48.9±34.9,「ビスカス法」58.9±33.8点,P<0.05。Q4.「飴法」13.9±20.4点,「ビスカス法」26.4±29.6点,P<0.001。有意に「飴法」で苦痛度が低く、更なる解析で64歳以下の女性で「飴法」での苦痛度が有意に低かった。また全例で麻酔およびGIEによる副作用は認めなかった。【結語】「飴法」は「ビスカス法」に比べ、麻酔自体の苦痛が少なくGIE中の苦痛度も低く被験者にとってより苦痛の少ない咽頭麻酔法と考えられた。またリドカインの使用量も「飴法」で少なく副作用の点でも優れていると考えられた。
索引用語 上部消化管内視鏡検査, 咽頭麻酔