セッション情報 ワークショップ14(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい上部消化管内視鏡検査の工夫

タイトル 内W14-4:

細径経口用マウスピースの有用性の評価

演者 緒方 健志(長崎県上五島病院・内科)
共同演者 本田 徹郎(長崎県上五島病院・内科), 瀧川 拓人(小笠原クリニック札幌病院・消化器外科)
抄録 【目的】現在、患者の受容性が良好である経鼻内視鏡検査は広く普及しているが、鼻腔が狭く検査実施困難となることや検査中の鼻痛や鼻出血が問題となることがある。また前処置において手間と時間を要する課題もある。細径経口用マウスピース(商品名:エンドリーダー)用いた細径経口内視鏡検査が経鼻内視鏡検査と同等の受容性があれば上記の問題を解決できる可能性があり両者の前向き無作為化比較試験を行った。【方法】対象は当院で内視鏡検査を受けた検診受診者で書面による研究参加の同意が得られた200名(男性106人,女性94人,平均年齢57歳)。経鼻内視鏡検査(N群,100名)とエンドリーダーを用いた経口内視鏡検査(O群,100名)に無作為に割り付け日本消化器内視鏡学会専門医2名によって検査を実施した。検査中の嘔吐反射の回数と唾液量ならびに検査直後のVAS、検査時間、内視鏡の操作性について比較検討を行った。また、検査終了後にアンケート調査を行い両群の前処置や検査の受容性などについて比較検討を行った。【結果】検査中の平均嘔吐反射回数(N群:0.76回、O群:2.44回),平均唾液量(N群:4.5ml、O群:9.5ml),平均VAS(N群:22.48、O群:31.44)はいづれもN群で有意に低値を示した(p<0.01)。また、施行者別においての検討でも同様であった。内視鏡の操作性はN群が良好であった。アンケート調査において前処置麻酔の受容性は両群に差は認めず検査受容性において前処置(麻酔)の関与は乏しいことがわかった。次回の検査の選択についての回答ではN群の70%が経鼻を選択したことに対しO群の37%は経口を選択した。O群において経鼻内視鏡検査の経験があった35名にうち34%は経口が楽だったと回答が見られた【結論】今回の検討からは経鼻内視鏡検査がより受容性が高い可能性が示唆されたが、細径経口用マウスピースを用いた細径経口内視鏡検査も良好な受容性を示す症例もあり2つ目の選択肢として有用である。
索引用語 細径経口用マウスピース, 経鼻内視鏡