セッション情報 一般演題

タイトル 070:

EUS-FNAが診断および治療方針決定に有用であった形質細胞腫の一例

演者 中込 良(東京大学医学部附属病院 消化器内科)
共同演者 内野 里枝(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 平野 賢二(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 秋山 大(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 斎藤 友隆(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 川畑 修平(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 高原 楠昊(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 濱田 毅(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 水野 卓(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 山本 恵介(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 宮林 弘至(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 毛利 大(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 佐々木 隆(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 木暮 宏史(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 山本 夏代(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 中井 陽介(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 伊佐山 浩通(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 多田 稔(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 小池 和彦(東京大学医学部附属病院 消化器内科), 前田 大地(東京大学医学部附属病院 病理部)
抄録 症例は66歳女性。食後の心窩部違和感のため近医を受診し、AUSにて膵体部腫瘤を認めたため精査目的に2012年12月当科紹介受診した。CTにて膵体尾部に6cm大の乏血性腫瘤(早期相でlow density、後期相ではisodensity)を認めた。EUSでは、膵体尾部に32x19mm大のlow echoicなmassを認め、主膵管は腫瘤内を貫通していた。また、最尾部にも24x21mm大のlow echoic massを認め、CTではこれら2つのmassが合わさって1つの病変と認識されたと考えられた。通常型膵癌としては尾側の主膵管拡張や膵尾部の萎縮が目立たず、CEA、CA19-9の上昇はなかった。また、IgG4およびIL-2Rの上昇も認めなかった。確定診断のためEUS-FNAを施行した。形質細胞様細胞及びやや大型の核を有するリンパ球様細胞の集簇がみられ、免疫染色を施行したところκ>>λの軽鎖制限が認められ、CD79a(-)、CD20(+)を示し、MIB-1 indexは60%程度であった。以上より形質細胞腫や形質細胞への分化を示すB細胞性リンパ種が疑われた。骨髄生検にて骨髄では、少数(7%)ながら軽鎖制限のある形質細胞を認めており、膵腫瘤についても形質細胞腫の可能性がより高いと考えられた。CT・MR・PETにて膵臓以外の病変は認めなかった。膵限局の孤発性形質細胞腫の場合、診断と同時に治療も兼ねられること等考慮し、2013年1月体尾部切除を施行した。切除検体による病理組織診断も形質細胞腫であった。その後再発を認め、現在血液内科にて化学療法を施行している。通常型膵癌の画像所見とは異なり、自己免疫性膵炎や悪性リンパ腫を鑑別疾患として考えていたが、最終的にEUS-FNAが診断と治療方針決定に有用であった形質細胞腫の一例を経験したため、報告する。
索引用語 形質細胞腫, EUS-FNA