セッション情報 | 研修医セッション(卒後2年迄) |
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タイトル | 043:出血性十二指腸潰瘍が診断の契機となった混合型IPMNの一例 |
演者 | 佐藤 康介(医療法人 筑波記念会 筑波記念病院) |
共同演者 | 小林 真理子(医療法人 筑波記念会 筑波記念病院), 越智 大介(医療法人 筑波記念会 筑波記念病院), 杉山 弘明(医療法人 筑波記念会 筑波記念病院), 添田 敦子(医療法人 筑波記念会 筑波記念病院), 本橋 歩(医療法人 筑波記念会 筑波記念病院), 設楽 佐代子(医療法人 筑波記念会 筑波記念病院), 池澤 和人(医療法人 筑波記念会 筑波記念病院), 中原 朗(医療法人 筑波記念会 筑波記念病院) |
抄録 | 【背景】十二指腸潰瘍からの出血を契機に膵癌合併を強く疑う混合型IPMNと診断し得た一症例を経験したので,報告する. 【症例】80歳代,男性 【既往歴】肺性心,高血圧症,前立腺肥大症 【現病歴・経過】2013年4月下旬頃から食欲が低下し,5月上旬には嘔吐も出現した.近医で上部消化管造影検査が施行され,十二指腸潰瘍と診断し当院へ紹介受診となった.初診時の上部消化管内視鏡検査では,十二指腸球部下面に白苔を伴う3cm大のA2 stage潰瘍を認めた.潰瘍底や辺縁に目立った不整はなく内視鏡上は悪性を疑う所見に乏しかった.なお血清H.pylori抗体価は31.4 IU/mlと陽性であった.入院後はプロトンポンプ阻害剤(PPI)投与による加療を行うも,上部消化管内視鏡の再検査では改善傾向が軽微であり,その後も腹部症状が持続したため,腹部CT検査,MRCP検査を追加施行した.その結果,膵頭部に40mm大の混合型IPMNを認め主膵管の高度拡張と壁在結節も伴い,IPMN由来膵癌への進行を強く示唆する所見を得た.IPMNの一部が十二指腸壁に接しており,IPMN由来膵癌の直接浸潤もしくは機械的圧迫による粘膜血流障害が難治性十二指腸潰瘍の成因であると推察した.混合型IPMNは一般に手術適応であるが,PS不良であり患者家族が手術を希望せず,経過観察の方針とした. 【考察】本症例は,PPIによる治療後も改善傾向の乏しい十二指腸潰瘍であったことから,悪性疾患を否定しえず混合型IPMNの診断に至った.十二指腸潰瘍はH.pylori感染が主因であるが,悪性腫瘍が原因である可能性もあり,難治例においては他の画像検索を含めたさらなる積極的な検査を行うことが重要であると考察された. |
索引用語 | 十二指腸潰瘍, 混合型IPMN |