セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 007:

直接浸潤による十二指腸狭窄をきたして発見された腎盂癌の一例

演者 藤村 彰(板橋中央総合病院)
共同演者 市川 武(板橋中央総合病院), 小池 英明(板橋中央総合病院), 天目 陽(板橋中央総合病院), 田中 佐世(板橋中央総合病院), 根岸 良充(板橋中央総合病院), 赤澤 希宝香(板橋中央総合病院), 神野 正隆(板橋中央総合病院), 佐々木 洋(板橋中央総合病院), 大久保 沙恵(板橋中央総合病院), 町田 展章(板橋中央総合病院), 大井 至(板橋中央総合病院), 田和 良行(板橋中央総合病院), 藤野 雅之(蓮根ロイヤルクリニック)
抄録 症例は67歳、男性。2013年5月初旬頃より食欲不振を認めた。その後、食後の嘔吐が出現し、食事摂取がほぼ不可能になり、近医を受診した。上部消化管内視鏡検査にて食欲不振の原因となる明らかな異常を認めず、精査目的で当院紹介受診となった。造影CTでは左腎盂の拡張と左腎盂尿管移行部に造影効果を認める壁肥厚、十二指腸トライツ靭帯近傍の著明な腸管狭窄とその口側の腸管拡張、周囲の腹腔内脂肪織に炎症性変化によると考えられる広汎な濃度上昇を認めた。腎盂癌による尿管閉塞による水腎症からの尿溢流に伴う炎症性の十二指腸狭窄、もしくは腎盂癌の十二指腸直接浸潤が疑われ、精査加療目的で同日入院となった。入院後、胃管挿入を行い腸管減圧を試みたが、胃管からの排液は続き、症状の改善を認めなかった。注腸造影検査では大腸に明らかな腫瘤性病変は認めず、十二指腸狭窄の原因として大腸癌の十二指腸浸潤は否定された。排泄性腎盂造影では左尿管は造影されず、その後の腎瘻造設時の左尿管造影では腎杯が造影されるのみで、腎盂、尿管は造影されなかった。十二指腸造影では十二指腸水平脚での狭窄を認め、空腸側は造影されず、腎盂癌の直接浸潤による十二指腸狭窄と考えられた。尿細胞診はClassIIIbであった。腎盂癌 stageIVの診断で当院泌尿器科に転科となりGEMに化学療法開始となった。腎盂癌の浸潤により十二指腸狭窄をきたした症例は希であり、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 腎盂癌, 十二指腸狭窄