セッション情報 一般演題

タイトル 094:

常用量のアセトアミノフェン内服により劇症肝炎をきたした一例

演者 林 栄一(昭和大学 消化器内科)
共同演者 下間 祐(昭和大学 消化器内科), 江口 潤一(昭和大学 消化器内科), 荒井 潤(昭和大学 消化器内科), 大森 里沙(昭和大学 消化器内科), 宮下 みゆき(昭和大学 消化器内科), 魚住 祥二郎(昭和大学 消化器内科), 森川 賢一(昭和大学 消化器内科), 伊藤 敬義(昭和大学 消化器内科), 吉田 仁(昭和大学 消化器内科)
抄録 【はじめに】アニリン系の非ステロイド性消炎鎮痛薬の過量服薬による中毒性肝障害は海外を中心に報告されており、劇症化の経緯を辿る症例もしばしば報告されている。今回我々は、常用量のアセトアミノフェン服用により劇症肝炎にまで至った症例を経験した。薬物リンパ球刺激試験(DLST)が陽性であり、アレルギー性の肝障害が考えられた。アセトアミノフェンによるアレルギー性の薬物性肝障害が劇症化にまで至った症例は貴重であるため、文献的考察を含めて報告する。【症例】元来健康な17歳の女性。発熱、倦怠感を認めたため、近医でアセトアミノフェン(ピーエイ配合錠、カロナール)を処方され内服した。数日後、黄疸を自覚したため前医を受診した。前医受診時の血液検査でAST 4,601 IU/l、ALT 4,769 IU/lと著明な肝機能障害を認めた。プロトロンビン時間(PT)11.5%と凝固能の著しい低下もあり、重症型急性肝炎の診断で精査加療目的に当院を紹介され緊急入院となった。入院当初は対症療法にて経過観察とされたが、第2病日に意識障害と羽ばたき振戦を認めたため劇症肝炎と診断された。ステロイドパルス療法、抗DIC療法、持続的血液濾過透析および血漿交換療法を同日より開始したところ、第3病日には意識障害は改善し、PT 51%と肝合成能の改善も認めた。入院後の検査にて各種ウィルス性肝炎,自己免疫性肝障害は否定的であり,ピーエイ配合錠、カロナールのDLSTが陽性であることが確認された。DDW-J 2004薬物性肝障害ワークショップのスコアリングで9点となり、本症例は薬物性肝障害が原因の劇症肝炎であると考えられた。その後、肝障害は速やかに改善し、第21病日に退院となった。現在は外来にて肝障害の再燃は認めていない。【考察】常用量のアセトアミノフェンの内服によるアレルギー性肝障害が劇症肝炎にまで至った報告は医中誌で検索したところ報告例はわずか4例であった。アセトアミノフェンは適正な使用量では安全かつ有効な解熱鎮痛薬であるが、大量服薬歴がなくとも劇症肝炎を引き起こしうることを念頭に日常診療を行っていく必要があると考えられる。
索引用語 劇症肝炎, アセトアミノフェン