セッション情報 一般演題

タイトル 087:

保存的加療が可能であった上部消化管造影検査後のS状結腸穿孔の1例

演者 野村 好紀(国際医療福祉大学病院 消化器内科)
共同演者 田邊 裕貴(国際医療福祉大学病院 消化器内科), 一石 英一郎(国際医療福祉大学病院 消化器内科)
抄録 【症例】40歳代,女性.【主訴】下腹部痛,下痢,嘔吐
【現病歴】2013年6月検診にて上部消化管造影検査を施行し,検査直後にセンノサイド2錠を内服し,同日夜にバリウムの排泄を認めなかったためセンノサイドを追加で2錠内服した.翌日早朝に腹痛が出現し,バリウムの排泄とともに下痢,嘔吐も出現したため当院救急外来を受診した.腹部単純CT検査でS状結腸の憩室及び周囲脂肪織濃度の上昇がみられ憩室炎が疑われ当科入院となった.
【臨床経過】絶食、補液と抗生剤の投与にて腹部症状と炎症所見の改善を認めたため,入院6日目に下部消化管内視鏡検査を施行したところ,S状結腸に縦走潰瘍が多発しており,その一つは深掘れ潰瘍であった.内視鏡検査では明らかな穿孔を確認できなかったが,検査後のCTにて腸間膜付着側にfree airを認めた.腹部症状もなく,free airは腸間膜に限局しており,バリウムの漏出も認めなかったため保存的治療の方針とした.入院11日目に施行したCT検査ではfree airは改善を認め,翌日下部消化管内視鏡検査を施行した.内視鏡検査では潰瘍は縮小し瘢痕化を認めたため食事を再開し,経過良好のため退院となった.
【考察】上部消化管造影後の大腸穿孔は101万件中3例と報告されており,結腸に器質的疾患を有しない穿孔症例は本邦では25例の報告と非常に稀であるが,穿孔によるバリウムの腹腔内漏出や腸内細菌の感染にて重症化しやすい疾患である.また受診時には穿孔の所見がなく、遅発性の穿孔をきたす症例やバリウムによるハレーションのため診断に苦慮する症例がある.本症例も初診時には明らかな穿孔所見がなく憩室炎の診断となり、遅発性の穿孔を認めた。上部消化管造影検査後の腹痛は穿孔を念頭に置いた診療が必要と考えられた.今回我々は保存的加療が可能であった上部消化管造影検査後のS状結腸穿孔の1例を経験した.
索引用語 上部消化管造影検査, S状結腸穿孔