セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 039:

腹腔内髄膜腫の1例

演者 雨宮 浩太(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科)
共同演者 藤田 翔平(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 川野 文裕(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 塚本 亮一(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 小笠原 加奈(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 朝倉 孝延(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 大森 聡(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 宮野 省三(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 渡野邉 郁雄(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 町田 理夫(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 北畠 俊顕(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 児島 邦明(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 総合外科), 坂口 亜寿美(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 病理検査科), 小倉 加奈子(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 病理検査科), 松本 俊治(順天堂大学医学部附属順天堂練馬病院 病理検査科)
抄録 症例は39歳、男性。主訴:腹部膨満感。現病歴:2013年の3月頃より臍周囲の膨らみを自覚し当院総合診療科を受診。腹部CT上多発腹腔内腫瘤、癌性腹膜炎を疑われ原発不明癌の診断で精査加療目的に入院となった。入院後精査するも原発同定し得ず、開腹生検目的で当科紹介受診となった。既往歴:30歳から高血圧、内服加療中。
身体診察上臍左の腹壁に弾性軟の腫瘤を触知した。入院時血算生化学所見ではカリウム、CRPの軽度上昇認めるのみで腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。腹部造影CT検査では、膵の尾側、左腎腹側に全体として径15×7cmの辺縁不整で内部不均一な腫瘤認め、腹腔内に同様の所見が散見された。腹部超音波検査では、左腎腹側に多房性嚢胞性腫瘍を認めた。上下部消化管内視鏡検査では、異常所見は認めなった。PETでは、左上腹部に不整形の著明な集積亢進(SUV max27)を認め下腹部にも同様の所見を認めていた。
以上の所見より、腹腔内GIST、悪性リンパ腫、肉腫、カルチノイド、悪性中皮腫などを疑い開腹生検施行となった。生検は単腔式腹腔鏡下腫瘤切除術で行われた。手術所見は腹壁から触知した部分と一致し、嚢胞性腫瘤を認めていたが、腫瘤は周囲の組織と強固に癒着しており剥離は不可能であった。右内側臍ひだのやや正中寄りに同様の嚢胞性腫瘤を認めそこから腫瘤根部を切離し手術終了した。
術中の迅速診断では悪性中皮腫の疑いであったが、最終的な病理学的所見では、各種免疫染色の結果、低悪性度の腹腔内髄膜腫と診断した。術後明らかな合併症もなくPOD4で退院となった。
今回腹腔内に多量発生した、腹腔内髄膜腫という希少な1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 腹腔内髄膜腫, 開腹生検術