セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 002:

逆流性食道炎の経過観察中に生じた表在型バレット食道癌の1例

演者 城間 翔(国立国際医療研究センター 消化器内科)
共同演者 横井 千寿(国立国際医療研究センター 消化器内科), 猪狩 亨(同 臨床病理科), 中村 ハルミ(同 臨床病理科), 木平 英里(国立国際医療研究センター 消化器内科), 張 萌琳(国立国際医療研究センター 消化器内科), 畑 昌宏(国立国際医療研究センター 消化器内科), 久田 裕也(国立国際医療研究センター 消化器内科), 守安 志織(国立国際医療研究センター 消化器内科), 梅本 久美子(国立国際医療研究センター 消化器内科), 大久保 栄高(国立国際医療研究センター 消化器内科), 関根 一智(国立国際医療研究センター 消化器内科), 田中 将平(国立国際医療研究センター 消化器内科), 横田 悦子(国立国際医療研究センター 消化器内科), 渡辺 一弘(国立国際医療研究センター 消化器内科), 永田 尚義(国立国際医療研究センター 消化器内科), 櫻井 俊之(国立国際医療研究センター 消化器内科), 小早川 雅男(国立国際医療研究センター 消化器内科), 小島 康史(国立国際医療研究センター 消化器内科), 秋山 純一(国立国際医療研究センター 消化器内科)
抄録 【症例】69歳男性邦人【既往症】高血圧、逆流性食道炎、肥満(BMI 27.3)【内服薬】Nifedipine 20mg、Valsartan 80mg、Lansoprazole 15mg【現病歴】数年前より逆流性食道炎の診断を受け近医にてフォロー中であった。その後、喉のひっかかる感じを自覚し、再度近医受診し上部消化管内視鏡検査施行。バレット食道(以下BE)の診断を得、BE粘膜内の発赤所見から生検でadenocarcinomaが認められ当院紹介受診となった。約2cm程度の食道裂孔ヘルニアに連続する胸部中部~下部のプラハ分類 C3M5のLong Segment BE(以下LSBE)内に、白色光観察では明らかな凹凸を伴わない亜全周性の境界不明瞭な淡い発赤所見があり、NBI拡大観察では走行不整を伴い不揃いで口径不同な腫瘍血管がLSBE全周性に認められた。ただし、比較的大きな食道裂孔ヘルニアが併存し内視鏡検査中にたびたび曖気を生じるため、内視鏡検査そのものが非常に困難であった。範囲診断目的の複数の生検全てでtub1が検出され、深部浸潤を示唆する所見は無かったが外科的手術の方針とした。また、食道pHモニタリング検査では、%Time食道内PH<4=0.1%と良好であったが、Symptom Index=50%で陽性であった。全周性表在型BE癌cT1aN0M0の臨床診断のもと、右開胸開腹食道亜全摘後縦隔胃管再建2領域郭清を行った。癌の病理組織学検索結果は68×38mm, 0-IIb, tub1, pT1a-SMM, ly0, v0, n0であった。【考察】本症例は逆流性食道炎のフォロー中にBE癌を発症した。食道裂孔ヘルニアが併存し内視鏡検査中に曖気を生じる場合や逆流性食道炎が慢性的に存在する場合、食道胃接合部の同定が困難であることも少なくない。また本症例の癌の病変範囲を内視鏡的に特定することは非常に困難であった。現在、日本にはBEのサーベイランス法やフォローアップ法に関して統一された見解はなく、罹患率の高い欧米のような一定の見解が必要であることが示唆された。
索引用語 バレット食道, 食道腺癌