セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 004:

肝腫瘍を契機に発見された胃神経内分泌癌の一剖検例

演者 佐々木 典子(横浜南共済病院 消化器内科)
共同演者 洲崎 文男(横浜南共済病院 消化器内科), 寺田 昌弘(横浜南共済病院 消化器内科), 平尾 茉里名(横浜南共済病院 消化器内科), 小宮山 哲史(横浜南共済病院 消化器内科), 山田 博昭(横浜南共済病院 消化器内科), 川西 彩(横浜南共済病院 消化器内科), 西郡 修平(横浜南共済病院 消化器内科), 濱中 潤(横浜南共済病院 消化器内科), 三浦 雄輝(横浜南共済病院 消化器内科), 小谷 祥仁(横浜南共済病院 消化器内科), 岡崎  博(横浜南共済病院 消化器内科)
抄録 胃神経内分泌癌は胃癌全体の0.6%を占める稀な疾患である。神経内分泌腫瘍の中では悪性度の高い腫瘍であり、発見時には既に進行し遠隔転移を伴う例が多く、概して予後は不良である。今回我々は、肝腫瘍を契機に発見された胃神経内分泌癌を経験したので、文献的考察を加えて報告する。 症例は69歳の男性で、62歳で胃癌のため胃幽門側切除術の既往がある。上腹部膨満感のため前医を受診し、腹部超音波検査で多発性肝腫瘍を認めたため当施設へ紹介された。腹部造影CT検査では肝左葉を中心に多発性肝腫瘍を認め、胃壁への浸潤が疑われた。上部消化管内視鏡検査では残胃後壁に粘膜下腫瘍の形態を示す易出血性の腫瘍を認め、生検組織は低分化型内分泌細胞癌の所見であった。当初、多発肝腫瘍の胃壁侵潤を疑ったが、組織所見などを総合して考え胃原発の神経内分泌癌の肝直接浸潤、肝転移と診断した。血中セロトニン濃度は425ng/mlと上昇しており、セロトニン産生性腫瘍が疑われたがカルチノイド症候群は呈していなかった。本人の強い希望で化学療法目的に一時他施設へ転院したがPerformance Statusが急速に低下し治療適応外と判断された。緩和治療の方針で当施設へ再入院し、第30病日に死亡した。病理解剖は胃原発神経内分泌癌、多発性転移性肝腫瘍、膵転移の所見であった。
索引用語 神経内分泌腫瘍, 多発肝転移