セッション情報 一般演題

タイトル 099:

ラジオ波焼灼療法(RFA)2年8ヵ月後に焼灼部と十二指腸との交通が疑われた一例

演者 高橋 昭裕(大森赤十字病院 消化器内科)
共同演者 須藤 拓馬(大森赤十字病院 消化器内科), 芦刈 圭一(大森赤十字病院 消化器内科), 河野 直哉(大森赤十字病院 消化器内科), 関 志帆子(大森赤十字病院 消化器内科), 鶴田 晋佑(大森赤十字病院 消化器内科), 千葉 秀幸(大森赤十字病院 消化器内科), 井田 智則(大森赤十字病院 消化器内科), 諸橋 大樹(大森赤十字病院 消化器内科), 後藤 亨(大森赤十字病院 消化器内科)
抄録 症例は84歳、男性。C型肝硬変、肝細胞癌、食道静脈瘤にて当科、特発性肺線維症にて当院呼吸器内科通院中。肝細胞癌に対しては他院にて平成5年、10年に肝切除術、平成19年に動注化学療法、平成22年以降は当科紹介され、再発の都度RFAを施行してきた。平成25年5月16日に肝細胞癌に対し、RFA目的に入院。入院時に38.5度の発熱と、腹部膨満、食思不振、黄色痰の訴えがあった。CRP8.76mg/dlと高値だった。肺線維症の持病と黄色痰の訴えがあったため胸部CTを施行したが、肺病変に増悪はなかった。第4病日に悪寒戦慄を伴う39.5度の発熱を認め、血液培養後、empiricに抗生物質を開始した。第5病日に腹部造影CTを施行したところ、十二指腸と接する肝S6RFA焼灼部(平成22年9月施行)に微小な空気像を認め、第9病日の経口十二指腸造影では腸管外への造影剤漏出はなかったものの、直後のCTにて同部位に造影剤貯留を認め、十二指腸内腔との交通が疑われた。発熱の原因として、肝の過去のRFA焼灼部位と十二指腸が交通したことによる、同部の膿瘍形成が疑われた。その後、解熱し、第12病日にはCRP1.71mg/dlと改善したため抗生物質を終了としたが、増悪はみられなかった。第19病日に上部消化管内視鏡検査を施行したところ、十二指腸(上十二指腸角)に瘢痕様所見を認めたが、他に憩室や明らかな穿通部位の指摘はできず、内視鏡下の造影でも腸管外への造影剤漏出は確認されなかった。肝と十二指腸の交通の原因は確定できなかったが、3年前のRFA後より、同焼灼部位と十二指腸が癒着し、十二指腸の炎症や潰瘍等により肝へ炎症が波及し生じたものと推測された。RFA焼灼部と十二指腸が遅発性に交通をきたす例は極めて稀で、大変貴重な症例と考えられたため報告する。
索引用語 RFA, 十二指腸穿通