セッション情報 一般演題

タイトル 064:

内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)後に発症した胆石イレウスの一例

演者 山内 芳也(東京労災病院 消化器内科)
共同演者 和久井 紀貴(東京労災病院 消化器内科), 朝井 靖二(東京労災病院 消化器内科), 團 宣博(東京労災病院 消化器内科), 武田 悠希(東京労災病院 消化器内科), 植木 紳夫(東京労災病院 消化器内科), 大塚 隆文(東京労災病院 消化器内科), 大場 信之(東京労災病院 消化器内科), 西中川 秀太(東京労災病院 消化器内科), 児島 辰也(東京労災病院 消化器内科)
抄録 症例はC型肝硬変で通院中の80歳代女性。3年前に総胆管結石を指摘され内視鏡的除石術が試みられたが、乳頭が水平脚に位置していることや結石が25mmと大きいことなどから処置が困難であったため、EST(中切開)後にプラスチックステント(PS)を留置し経過観察を行った。以降、定期的にステントの交換を行っていた。平成24年10月に腰椎圧迫骨折で当院整形外科に入院した。入院中、ステント閉塞による胆管炎を発症したため当科に転科となった。その後、内視鏡下でステント交換を行い胆管炎は一時的に改善したが術後8日目ごろから症状が再燃したため再度ERCPを施行した。バルーンカテーテルで総胆管内のクリーニングを行ったところ、膿性胆汁とともに多量の結石や胆泥の排出を認めた。総胆管内に結石の残存がないことを確認した後にPSを留置して治療を終了した。翌日、腹満感が出現したため腹部CTを施行したところ回腸末端に38mmの結石を認め胆石性イレウスと診断した。同日、イレウスチューブを挿入し症状は改善した。イレウスの解除方法として外科的手術も考慮したが全身状態不良であることから困難と判断し、4日後に内視鏡的除石を試みたが回腸末端に陥頓していた結石は発見できなかった。直後のCTで腸管内の結石は消失していたことから自然排石したと判断した。瘻孔を介さない胆石性イレウスは本邦で2例が報告されており,そのうちEST後に発症した胆石性イレウスは1例のみである。胆石性イレウスの原因となる結石径はほとんどが25mm以上であることから大きな結石に対する砕石を考慮すべきである。
索引用語 胆石イレウス, 内視鏡的乳頭括約筋切開術