セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 030:

破裂巨大肝嚢胞に対し,腹腔鏡下肝嚢胞天蓋切除術を施行した1例

演者 赤間 悠一(日本医科大学 消化器外科)
共同演者 川野 陽一(日本医科大学 消化器外科), 谷合 信彦(日本医科大学 消化器外科), 中村 慶春(日本医科大学 消化器外科), 吉岡 正人(日本医科大学 消化器外科), 松下 晃(日本医科大学 消化器外科), 水口 義昭(日本医科大学 消化器外科), 清水 哲也(日本医科大学 消化器外科), 神田 智洋(日本医科大学 消化器外科), 上田 純志(日本医科大学 消化器外科), 高田 英志(日本医科大学 消化器外科), 住吉 宏樹(日本医科大学 消化器外科), 吉田 寛(日本医科大学多摩永山病院 外科), 内田 英二(日本医科大学 消化器外科)
抄録 (緒言)肝嚢胞は、肝腫瘍の中で頻度の高い良性疾患であり、治療を要さず無症状のまま経過することが多く、破裂することは稀である。今回、手術予定であった圧迫症状を有する巨大肝嚢胞が術前に破裂し、その後、腹腔鏡下肝嚢胞天蓋切除術を施行した症例を経験したため報告する。(症例)65才、女性。上腹部圧迫症状を主訴に近医を受診し、精査加療目的に当科紹介となった。外側区域に径20cmの巨大肝嚢胞を認め、腹部症状を有する巨大肝嚢胞として手術適応と判断し、一時退院をしていた。手術10日前に前日からの腹痛を主訴に外来受診したが、腹部CTで嚢胞内血腫と腹腔内の液体貯留を認め、腹部打撲の既往はなかったが嚢胞破裂と診断した。また、来院時に血圧の軽度低下を認め、1分ほどの意識レベルの低下と左上下肢の軽度麻痺を認めたが、神経内科で血圧低下による一過性の脳血流量低下による症状と診断された。保存的加療により血圧の安定と症状改善を認めヘモグロビンの低下も軽度であり出血継続の徴候を認めなかったため、予定通り腹腔鏡下肝嚢胞天蓋切除術を施行した。術前に嚢胞穿刺を行い、細胞診で悪性所見が無いこと、画像所見でも胆道系との交通が無いことを確認した。手術所見では、肝外側区域の巨大嚢胞と腹腔内に出血を示唆する腹水を認めた。超音波凝固切開装置にて嚢胞壁を切除し、IO電極にて嚢胞内粘膜を焼灼した。嚢胞壁を腹腔外に摘出し、腹腔内を良く洗浄後に手術を終了した。術後経過は良好であり、10日目に退院した。(結語)破裂肝嚢胞は稀であるが、その治療には、腹腔内洗浄と共に根治的治療が可能となる腹腔鏡下肝嚢胞天蓋切除術が有用である。
索引用語 破裂肝嚢胞, 腹腔鏡下肝嚢胞天蓋切除術