セッション情報 | 研修医セッション(卒後2年迄) |
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タイトル | 046:NSAIDs坐剤長期使用によって直腸潰瘍から瘢痕狭窄にまで至った1例 |
演者 | 石毛 克拓(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科) |
共同演者 | 亀崎 秀宏(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 今井 雄史(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 大和 睦実(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 稲垣 千晶(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 矢挽 眞士(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 妹尾 純一(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 藤本 竜也(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 山田 博之(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 大部 誠道(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 藤森 基次(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 吉田 有(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 駒 嘉宏(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 畦元 亮作(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 鈴木 紀彰(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科), 福山 悦男(国保直営総合病院 君津中央病院 消化器科) |
抄録 | 【症例】69歳女性【現病歴】4年前より帯状疱疹後神経痛の疼痛コントロール目的にNSAIDs坐剤処方開始となった。2年前より血便出現したため、下部消化管内視鏡検査が施行された。直腸炎を指摘されたが潰瘍は認めず、病理では炎症性細胞浸潤認めるも、特異的所見はなかった。その後も血便続き、便秘も出現したため、今回原因精査目的に下部消化管内視鏡検査を施行したところ、直腸に限局する広範な潰瘍と、膜様狭窄を認めた。病理では特異的所見はなかった。直腸狭窄の病態は、NSAIDs坐剤長期使用による潰瘍後の瘢痕狭窄と判断し、バルーン拡張によるブジーを行った。その後、NSAIDs坐剤を中止し、経過は良好である。【考察】NSAIDs坐剤は効果発現時間が速く、除痛効果も高いため、疼痛コントロールにおいては安易に頻回使用されることがある。消化管潰瘍は代表的な副作用であり、直腸潰瘍の報告も散見される。直腸潰瘍を起こす患者の基礎疾患として、精神疾患合併慢性頭痛患者や神経痛患者の、女性が多いと言われている。また、瘢痕狭窄にまで至った症例の報告は稀ではあるが、念頭に置く必要がある。NSAIDs起因性大腸潰瘍に関する報告で、潰瘍出現までの平均使用期間が3-4ヵ月、膜様狭窄出現までの平均使用期間が3-4年とするものがある。今回の症例は、血便出現後も非特異的潰瘍としてその後も2年にわたりNSAIDs坐剤を使用し続けたという点で反省すべき症例であった。直腸潰瘍の症状として疼痛や出血が一般的ではあるが、疼痛や出血を伴わずに尿意切迫感のみを呈することもあると言われている。NSAIDsによる潰瘍・狭窄の診断は炎症性腸疾患等潰瘍をきたす疾患の除外診断であるが、病理所見としてアポトーシス小体が特徴的であるといった報告がある。狭窄に至った場合、バルーン拡張によるブジーを施行することが一般的であるが、ブジーにて治療経過不良である場合、手術による腸管切除が必要となることがある。 |
索引用語 | 直腸潰瘍, NSAID |