セッション情報 | 研修医セッション(卒後2年迄) |
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タイトル | 063:超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)で成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)と診断した一例 |
演者 | 佐野 実穂(自治医科大学 消化器・肝臓内科) |
共同演者 | 相良 裕一(自治医科大学 消化器・肝臓内科), 高橋 治夫(自治医科大学 消化器・肝臓内科), 沼尾 規且(自治医科大学 消化器・肝臓内科), 牛尾 純(自治医科大学 消化器・肝臓内科), 畑中 恒(自治医科大学 消化器・肝臓内科), 冨山 剛(自治医科大学 消化器・肝臓内科), 玉田 喜一(自治医科大学 消化器・肝臓内科), 菅野 健太郎(自治医科大学 消化器・肝臓内科), 金井 信行(同 病理学教室), 坂谷 貴司(同 病理学教室), 森 政樹(同 血液内科), 目黒 明子(同 血液内科) |
抄録 | 【症例】65歳女性。1ヶ月前より下腹部膨満感、食欲不振が持続するため近医受診、腹部超音波で膵臓に10cm超の低エコー腫瘤を指摘され、当科紹介受診となった。理学所見では表在リンパ節腫脹はないが、上腹部正中に10cm超の腫瘤を硬く触知した。腹部造影CTで10cm超の傍大動脈リンパ節、血液検査でLDH、IL-2受容体の著明な上昇を認め、末梢血に異常リンパ球は認めなかった。EUS-FNA(19G)で採取した生検の病理組織学的所見で、異型リンパ球のモロクローナルなびまん性増生を認め、免疫染色で腫瘍細胞はCD4>CD8、CD25陽性であった。フローサイトメトリーでは、CD2・3・4・25陽性細胞を認めた。以上よりT細胞由来のリンパ腫を疑い、詳細な問診をとると患者は佐賀県出身で、姪がATLLであった。抗HTLV-1抗体提出したところ、陽性でありATLLと診断した。血液内科に転科しCHOP療法、ATLLに特化したMogamulizumab療法が開始され、腫瘍サイズが半減し、血中LDH、IL-2受容体の低下を認めた。寛解に至れば骨髄移植を検討する方針である。【考察】EUS-FNAは、平成22年に保険収載され、従来の内視鏡下生検では診断不可能であった胃粘膜下腫瘍、小腸腫瘍、膵腫瘍等の組織診断、さらに膵膿瘍ドレナージ等の治療にも用いられている。本症例のように腹腔内リンパ節腫大に対する診断法としても開腹下生検や経皮的US/CTガイド下穿刺吸引法に比べて、診断精度が高く侵襲性が低い面から高く評価されている。Korenblit Jらは腹腔内リンパ節腫大のある147例にEUS-FNAを用いた組織診断を行っており、誤診例は1例のみであったと報告している。EUS-FNAでATLLが診断確定した例は医中誌、PubMedを検索した限り認めなかった。本症例は悪性リンパ腫を強く疑っていたが、EUS‐FNAで組織診断を行ったことで、ATLLと診断でき適切な治療に結びつけることができ良好な効果を得られた。 |
索引用語 | EUS-FNA, ATLL |