セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 003:

短期間に特殊な形態変化をきたした、SMT像を呈する単発性の胃過誤腫性ポリープの1 例

演者 花田 優理子(日本医科大学 消化器内科)
共同演者 三宅 一昌(日本医科大学 消化器内科), 飽本 哲兵(日本医科大学 消化器内科), 小高 康裕(日本医科大学 消化器内科), 川見 典之(日本医科大学 消化器内科), 河越 哲郎(日本医科大学 消化器内科), 二神 生爾(日本医科大学 消化器内科), 岩切 勝彦(日本医科大学 消化器内科), 坂本 長逸(日本医科大学 消化器内科)
抄録 症例は67歳の男性.健診の胃X線検査で、胃体下部大彎側に隆起性病変を指摘され紹介となった。上部内視鏡検査(EGD)にて、同部にφ1.5cm大、頂部に小発赤をともなう表面平滑な粘膜下腫瘍(SMT)様の腫瘤を認め、Cushion signは陽性であった。腹部CTでは同部に胃内腔に突出する、造影効果伴う腫瘤として描出された。EUSでは,第3層を主座とする内部に数個の無エコーな領域をともなう低エコー腫瘤であった。以上より,動静脈奇形や血管腫などの血管性病変を疑い、生検は行わず経過観察とした。自覚症状はなかったが1年後のEGDで,同SMT様腫瘤は、頂部に発赤が強く不均一な白苔をともなう過形成性ポリープが出現し、あたかもSMT様隆起内より逸脱したような形態を呈していた。依然、血管性病変を否定できないため生検は行わなかった。血清Hピロリ抗体は陽性であったため、頂部の過形成性ポリープ様隆起への効果を期待し、同意を経て除菌療法を行った。除菌成功を確認し得た、除菌後のEGDでは、同SMT様隆起部の大きさは変動したが、頂部の過形成性ポリープ様隆起は徐々に縮小し、発赤や白苔の程度も顕著に減少した。近接すると、過形成性ポリープ様隆起内に多量の透明な粘液を排出する開口部を視認し得た。同開口部の存在から血管性病変の可能性は低いと判断し生検した。生検結果は平滑筋腫であったが,異所性胃粘膜または迷入膵およびそれらの癌化の可能性を考え,内視鏡的粘膜下切除術(ESD)を施行した。ESD標本において、粘膜下層を首座とし、内部に粘液が貯留した腺管の嚢胞様拡張をともなう胃過誤腫性ポリープと診断した。Peutz-Jeghers 症候群に関連した胃過誤腫性ポリープはよく知られた存在であるが,非症候性,単発性の胃過誤腫性ポリープはまれな疾患である.今回,我々は、短期間に特殊な形態変化をきたした、SMT像を呈する単発性の胃過誤腫性ポリープの1 例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胃, 過誤腫