セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 017:

腹腔内膿瘍を合併した腸結核の1例

演者 新倉 利啓(東京都立広尾病院)
共同演者 藤澤 信隆(東京都立広尾病院), 金崎 峰雄(東京都立広尾病院), 加藤 孝征(東京都立広尾病院), 藤井 徹朗(東京都立広尾病院), 梅沢 翔太郎(東京都立広尾病院), 城野 文武(東京都立広尾病院), 秋本 恵子(東京都立広尾病院), 北條 裕美子(東京都立広尾病院), 小山 茂(東京都立広尾病院)
抄録 症例は85歳女性.2012年10月中旬より間欠的な腹痛と食思不振を認め,同時期より微熱と便通異常を認めた.近医受診し,精査加療目的に当院消化器内科に紹介受診となった.血液検査施行したところ,WBCは18200 /μl,CRPは22.6 mg/dlと著明高値を認めた.造影腹部-骨盤CTを施行し,腹腔内膿瘍,腹水貯留,リンパ節炎を認めたため,保存的加療目的に即日入院となった.結核性腹膜炎の既往があったことから,腸結核の可能性を考慮し,下部消化管内視鏡検査を施行した.その結果回腸末端にやや輪状の潰瘍を認め,盲腸から上行結腸にかけて小豆大の円形潰瘍の多発を認め,内視鏡所見から腸結核と考えた.組織生検,生検培養,生検組織からの結核菌PCR,QFTを行ったがすべて陰性であり,Paustinらによる腸結核の診断基準は満たさなかったが,腸結核と考え,抗結核薬とLVFXの投与を開始した.その後解熱傾向となり,腹痛も改善傾向となった.CRPは0.7 mg/dlまで改善し,腹腔内膿瘍の縮小傾向となり,退院となった.本症例は腹腔内に結核性リンパ節炎および膿瘍を形成した腸結核の1例である.膿瘍を形成した腸結核の報告は少なく,医学中央雑誌で85例程度の報告があり,穿孔によらないものは1例のみであった.本症例は教育的示唆に富むものであり,今回報告する.
索引用語 腹腔内膿瘍, 腸結核